日本製紙石巻、福島出身の佐山がV弾

スポーツ報知
勝ち越し3ランを放った佐山(手前中央)をベンチ前で迎える日本製紙石巻ナイン

◆JABA社会人野球東京大会第1日 ▽予選リーグ・Aブロック JR東日本4―5日本製紙石巻(11日・神宮ほか)

 予選リーグが開幕。日本製紙石巻は、福島・浪江町出身の佐山航平内野手(21)が、同点の6回2死二、三塁から、左翼ポール際へ決勝の3ラン。「3・11」に特別な思いを持って臨んだナインが、JR東日本との接戦を制した。

 高々と舞い上がった打球を見送ると、佐山はゆっくりとダイヤモンドを1周した。「東北出身の人たちからしたら、忘れられない一日。勝利できたことは、地元の人たちにとっても、自分たちにとっても良かった」。190センチ、95キロの大型スラッガーが、勝負を決めた。

 震災が発生したのは、浪江中3年を迎える直前だった。原発事故の影響で、地震発生翌日には、いわき市へ避難。父の岩雄さん(61)が経営する老人ホームの入所者と共に、避難生活を送った。

 兄の背中を追って湯本高で野球を続けたが、3度の夏は、いずれも県大会初戦敗退。日本製紙石巻野球部が開いた野球教室がきっかけで、就職を決意した。現チームでは、唯一の高卒選手だ。「いい入り方ができた。更に良くなるように、追求していきたい。プロも目指したい」。21歳の若武者が、目を輝かせた。(青柳 明)

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