【大学選手権】西武で学んだ“大塚イズム”で東北福祉大14年ぶり復活V プロ出身監督3人目 

スポーツ報知
14年ぶりの日本一となった東北福祉大の大塚監督はナインの手で歓喜の胴上げ(カメラ・泉 貫太)

◆報知新聞社後援 第67回全日本大学野球選手権最終日 ▽決勝 東北福祉大6―2国際武道大(17日・神宮)

 プロ出身指揮官が、みちのくの強豪をよみがえらせた。東北福祉大(仙台六大学)が国際武道大(千葉県大学)を下し、04年以来、14年ぶり3度目の大学日本一。15年7月に就任した元西武外野手の大塚光二監督(50)は、プロ出身監督として3人目の優勝監督となった。

 2回に決勝打を放つなど、今大会2本塁打を含む8安打6打点の1番・吉田隼外野手(4年)がMVPを獲得した。国際武道大は2年連続の準優勝に終わった。

 ナインの手で3度、宙に舞った。就任3年目で日本一へ導いた大塚監督は「ビックリするほど成長した。(西武時代の優勝より)1000倍ぐらいうれしい」と満面の笑みで振り返った。

 個性と自主性を尊重する指導法が実った。左足を胸まで上げてタイミングを取る吉田隼は「春の打てない時でも『今までやって来たんだから変えなくていい』って言ってくれた。細かいことは言わず『イケイケドンドン』って感じです」と笑った。個性的なフォームのリードオフマンは、同点とされた直後の2回に勝ち越しの左前適時打。今大会打率4割4分4厘、6打点2本塁打でMVPに輝いた。

 プロ野球での勝負と、大学野球の勝負は別物だった。「プロは負けても次の試合がある。連敗しても取り返せる。大学野球は、2連敗したら全国に行けない。1つ勝つって、めちゃくちゃしんどい」。昨年の全日本大学野球選手権では、0―1で初戦敗退。1点、1勝、1敗の重みを痛感した。

 もう1つ、大事にしているのが、全選手への気配りだ。「巨人や西武でヘッドコーチを務めた須藤(豊)さん。レギュラーには何も言わず、控えへの気配りがすごかった。これは心掛けている。(現役時代に)代打で待機して結局、出番がない時に声を掛けてもらえた。レギュラーは、試合でパフォーマンスできるし、アピールできる。控えがなるべく腐らないように、フォローしてきた。うっとうしいと思われるくらいに」

 試合後はベンチ入りした全選手と握手を交わし、ウィニングボールを受け取った。「大事に持っておきます」。歓喜に沸くナインを、頼もしそうに見つめた。(青柳 明)

 ◆大塚 光二(おおつか・こうじ)1967年8月26日、神戸市生まれ。育英(兵庫)から東北福祉大に進み、外野手として活躍。同期に佐々木主浩投手。89年ドラフト3位で西武入りし、98年日本シリーズでは6打席連続安打。2001年の引退まで通算466試合で打率2割5分8厘、7本塁打、70打点、15盗塁。13年から日本ハム1、2軍で外野守備走塁コーチを務めた。家族は妻と1男1女。

 ◆東北福祉大 仙台市に本部を置く私立大学。1875年に宮城県曹洞宗専門学支校として現在の仙台市若林区に創立し、東北福祉短大を経て62年に現大学名に。野球部も同年に創部し、仙台六大学リーグでは今春で69度目の優勝。明治神宮大会は準V6度。部員数133人。主なOBは佐々木主浩(元マリナーズ)、金本知憲(阪神監督)、斎藤隆(元ドジャース)ら多数。

 ◇プロ選手経験者の優勝監督

 60年の法大・服部力(元近鉄)、66年の日大・河内忠吾(元阪神)両監督に次ぎ、大塚監督で3人目。

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