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トライアウト…日本ハム通訳から現役復帰へ 元ヤクルト・フェルナンデスの挑戦

2017年11月20日16時0分  スポーツ報知
  • ブラジル代表のユニホームでトライアウトに臨んだラファエル・フェルナンデス
  • 力強いフォームで投げ込むフェルナンデス

 ドラフトで指名され入ってくる者がいれば、去っていく者もいる。それがプロ野球の世界だ。15日、マツダスタジアムで行われた12球団合同トライアウトを取材した。プロ野球を戦力外となった選手らを対象とした入団テスト。計51選手(投手26、野手25)が参加した。

 投手は自分の「仕事」を終えたらすぐに球場を後にする。その「仕事」とは、カウント1―1から、わずか4打者を相手に投じるのみ。いつもの試合現場とは違い、新鮮だった。中でも、元ヤクルトのラファエル・フェルナンデス投手(31)の異例の挑戦が印象に残った。

 26投手の先陣を切った。この日の最速136キロの直球に変化球を織り交ぜ、4打者を無安打1奪三振。「結果には満足。悔いはないです。いいパフォーマンスができたと思う」。トップバッターの前西武・田代将太郎外野手(27)を右飛、前ヤクルト・原泉外野手(25)を見逃し三振、前オリックス・奥浪鏡内野手(22)を三飛、前西武・木村昇吾内野手(37)を三直に仕留めた。

 彼は見覚えのある顔だった。現在、日本ハムの球団職員として通訳を務めている。秋季練習中、私は鎌ケ谷スタジアムで何度も彼を見かけていた。ベンチで選手の練習を見守りながらも、どこか自分も野球がしたいという、さみしげな表情を浮かべていたのが記憶にあった。

 日本ハムの通訳面接を受ける際にも、今年のトライアウトを受験することを球団側に伝えていたという。そのくらい再びNPBのマウンドに立ちたい思いは強い。トライアウト後、「まだ1軍レベルの野球ができることを見せたかった。やっぱりマウンドで投げた方が楽しいですね」と語り、球場を去った。

 野球留学した白鴎大から2008年の育成ドラフト1位でヤクルトに入団し、11年に支配下登録され、13年までプレーした。その後は、四国アイランドリーグなどで腕を振った。13年と今年のWBCではブラジル代表にも選出された。WBCで着用したブラジル代表のユニホームで臨んだ右腕は「上下そろっているユニホームはこれしかなかったので」と笑ったが、「これを着ると気持ちが上がります」とお気に入りの勝負服で久しぶりのマウンドに立った。

 しかし現実は厳しい。毎年トライアウトから契約にこぎつけることができるのは少数だ。それでもフェルナンデスはきょうも、日本ハムの通訳をしながら吉報を待つ。異例の現役復帰を遂げ、再びマウンドに立てる日が来ることを祈っている。(記者コラム・小林 圭太)

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