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この写真どう撮った?07年ワールドシリーズ 松坂は歓喜の輪に飛び込んだ!

2018年4月11日16時47分  スポーツ報知
  • 07年、ワールドシリーズを制し、マウンドの歓喜の輪に加わる松坂
  • 世界制覇し、トロフィーを掲げて笑顔をみせる松坂

 2007年10月、寒い寒いデンバーにいた。写真の松坂大輔(37=現中日)が米メジャー、レッドソックスに移籍した1年目で“世界制覇”を達成した瞬間だ。

 ディビジョンシリーズでエンゼルス、リーグチャンピオンシップでインディアンスを下し、ワールドシリーズにコマを進めたレッドソックス。多くのカメラマンが集まるワールドシリーズは、日本の新聞社まで取材パスが発給されることはあまりないが、「パスが出るらしい」と、カメラマン仲間で飲んでいたときに情報が流れてきた。レッドソックスの広報が尽力してくれたという。

 当日のスタジアムは満員のお祭り騒ぎ。日本のスポーツ紙は通常のベンチ横のカメラマン席には入れず、レッドソックスの本拠フェンウェイ・パークでは三塁側の3階席。ロッキーズのクアーズ・フィールドも三塁側コンコースの台の上と、投手を良く撮れるポジションではなかった。警備も厳しくて他の場所に移動することもできず、第1戦から第3戦、ほとんど見ているしかなかった。

 第4戦の前夜、必死に考えた。松坂はワールドシリーズ制覇すれば三塁ベンチから飛び出してくる。反対側の一塁側から松坂を狙うしかない。

 当日、プレーボール前から一塁側コンコースのカメラ台の横に脚立を隠しておいた。8回裏、ロッキーズが1点差を追う。他紙のカメラマンからそっと離れ、現地のベテランカメラマンが陣取っている台の横に脚立を立てて何気なく「片足だけ乗せさせてくれ」と頼むと、見て見ないふりをしてくれた。

 しかし、いよいよこれからという9回1死に他紙の日本人カメラマンがいっせいにやってきて「台に乗せろ」と交渉を始めた。冷たく断る「ノー」の声に、日本人カメラマンも食い下がる。自分も追い出されそうになったが、運良く台から片足をはずして脚立の上に立つことができた。

 レッドソックス4連勝!ファンは大騒ぎで立ち上がったが、脚立の上に立っていたおかげでかろうじてグラウンドが臨める。完璧に作戦が決まった。ゲームセットで松坂が飛び出してくる、夢中でシャッターを切った写真がこれだ。

 16年に日本球界に復帰した松坂、5日には中日で4209日ぶりに先発登板した。かつての剛速球は失っていたが、今もプロ野球のマウンドに立っている。クアーズ・フィールドで見せてくれたあの笑顔をもう一度撮ってみたい。(記者コラム・越川 亘)

 

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