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【野球記者が見た2016】創価大・田中正義はメジャー封印で苦しみ揺れていた

2016年12月15日12時0分  スポーツ報知
  • 創価大・田中

 こんなに乱高下するとは予想もしなかった。ドラフト超目玉と騒がれた創価大・田中正義の評価だ。年明けから「史上初の12球団1位競合も!?」と大騒ぎも、春の右肩故障で大きく揺らいだ。5球団競合の末にソフトバンク入りはさすがだが、春秋リーグ戦と関東地区大学選手権を合わせた今年の通算成績は12登板で5勝1敗、防御率2・17。不完全燃焼の最速156キロ右腕にとって、苦しみ、揺れた1年だった。

 プロ志望届を提出した10月3日から2週間前、エースは荒ぶっていた。先発で白星を挙げた9月17日の共栄大戦(茨城・龍ケ崎市)。思うように力が発揮できないイラ立ちか、周囲が驚くほど「シャー!」「コラ!」とマウンドでほえて、最後はバテて6回1失点で降板した。大学日本代表などを経験し、ひそかにメジャーへの憧れを膨らませていた右腕は、この試合直後に「僕のことでチームに迷惑をかけられない。まずは日本で頑張ろうと決めました」と決断。日本一を目指す中、主将の自分が“雑音”を起こすことはできない。そして納得のいく調子を取り戻せない実力を冷静に見つめ直した。

 当時を振り返って岸雅司監督(61)は、エースの葛藤を思いやる。「日本のプロで力をつけてからでも間に合う。マイナーでもいいからやってみたいといっても、無理して手術するハメになりかねないと心配した。何時間もバス移動で、食事に気を使う正義には大変だぞと思っていた」。飛躍を期した大学ラストイヤー。チームも自身も思うに任せない日々で「一日も無駄にできない」という口癖は本音だった。

 思えば外野手から投手に復帰した大学1年時は、制球の荒さから「殺人ボール」と恐れられた。仲間が同情するほどジャンケンに弱く、ボールボーイや合宿所の電話番の常連だったという。そこから苦節4年で一気にドラ1へ―。今年1年の悔しさは、右腕のハートに磨きをかけたと感じる。そして伸びしろは、想像がつかないレベルという評価は不変だ。メジャー級の自分を夢見る剛腕は、東京五輪までの次の4年間で再び高度成長期を迎えるはずだ。(アマ野球担当・坂本 達洋)

 創価大・岸雅司監督が見た坂本記者

 ラーメン好きから入ってきたり、キャラがいいよね。最後はその人の人間性が大事なんだからね。正義と池田(隆英=楽天ドラフト2位)もそう。2人には指名されたところに使命があるんだよと言った。2人が行くところは、震災があった九州と東北という日本で大変なところ。お前たちが行って活躍して、苦労している人たちに元気や希望を与えられる、そういう選手になれると信じています。

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