【独占激白!松井秀喜】〈1〉よみがえれ巨人!V9以降1度も黄金期はない

2018年1月16日16時0分  スポーツ報知
  • ニューヨークのヤンキー・スタジアム近くでインタビューに応じた松井秀喜氏(カメラ・楢崎 豊)

 巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(43)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が史上最年少43歳7か月で野球殿堂入りを果たした。日米通算507本塁打を放った松井氏は、史上最多336票を集め、野茂英雄氏の45歳4か月を抜いて、史上最年少で選出された(プレーヤー表彰)。スポーツ報知では、松井氏の殿堂入りを記念して、「独占激白!松井秀喜」を10回にわたって連載する。

 居住する米ニューヨークで、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。2012年12月27日に現役を引退してから5年が経過。古巣・巨人から現在の生活、エンゼルス入団が決まった大谷翔平投手(23)や同じ高卒の左のスラッガーで注目を集める日本ハム・清宮幸太郎内野手(18)まで、たっぷりと語った。ゴジラは今、何を思うのか。

 巨人は2017年シーズン、11年ぶりのBクラスと低迷した。松井氏は毎試合、インターネットで結果をチェックしていたと言う。

 「厳しいシーズンだったのではないでしょうか。今のチーム状況は、過渡期だと感じます。2度のセ・リーグ3連覇を支えてきた主力が年齢的に力が落ちてきている時期で、それは仕方がないことです。ただ、その時に次の世代の選手が育っていなかった。それが、一番の問題だと思います」

 3シーズン続けて優勝を逃した。「常勝=巨人」の構図が揺らいでいる。現時点では、ソフトバンクの方が、「常勝」という言葉がふさわしいかもしれない。

 「私の個人的な感想ですが、V9以降、巨人には1度も黄金期はないと思います。この四十何年間、1度も。日本一連覇もないですよね。『巨人=常勝』というイメージがある方は、V9の影響ではないかと感じます」

 OBとして危機感や歯がゆさは持っているのか。

 「もちろん巨人には勝ってほしいし、魅力あるチームであってほしいです。巨人のV9以降、阪急(現オリックス)や西武には黄金期があったし、今はソフトバンクがその時期でしょう。巨人はリーグ3連覇が2度あり、それは素晴らしい功績ですが、V9は文字通り、9年間で9度の日本一です。そのあと四十何年間で、巨人は7度しか日本一になっていません。その現実を受け入れるなら『巨人=常勝』はV9以降、存在していないと思います」

 「ただ、それだけON(王貞治氏、長嶋茂雄氏)は偉大だったということでしょう。誰一人、後を継ぐことができませんでした。むしろ、V9時代やONの功績、人気に甘えた部分が、その後のチームにも選手にもあったのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。V9から学べることは学び、今の時代の『巨人=常勝』をどのようにして作っていくかを考えなくてはいけないと思います」

 そのためにも、若手の台頭は不可欠だ。自分自身のことを振り返りつつ、今の若手に助言するとすれば何か。何が必要なのか。

 「選手の成長のために何が必要かであれば、謙虚さを持ち続けながら、どう自信を付けていくかだと思います。相反するように感じるかもしれませんが、この2つの心の動きをコントロールできるようになれば、成長の助けになると思います。ジーターは試合中は自信満々でプレーしていましたが、いつも言っていました。『大事なのは謙虚さと素直さだ』と。『それがないと選手として成長できなくなる』と。その通りだと思います」

 ただ、若手の台頭には、同時にコーチの存在も重要だ。

 「アドバイスを素直に聞く。素直に頑張る。素直さが大事と言いましたが、そのアドバイスが選手のプラスになっていなければどうにもなりません。それはコーチの責任になってきます。だから、コーチも、もちろん大切です。ただ、選手も『コーチの言っていることは、自分にどう影響するのかな』と自分で考えないといけません。言われたことをやってみて、よくなっていると自分で感じなければ何にもなりません。結局は自分自身です。ただ、1軍半の選手にその(見極める)思考を求めるのは難しいでしょう。だからコーチは責任重大なんです」

 1、2軍の入れ替えや競争が激しい巨人。交代させられてしまう恐怖を感じながらプレーしている選手は少なくない。松井氏はどのようにその時期を乗り越えたのか。

 「私は幸いにも、長嶋監督が我慢して使い続けてくださったので、的確なアドバイスができるかは分かりません。ただ、交代は、自分がコントロールできることではありません。試合では相手もいて、相手のことも自分にはコントロールできません。それなら自分がコントロールできる部分にいかに集中するか、そこだけ考えればいいのではないでしょうか」

 さらに、結果を出すのは大事だが、そればかりにとらわれてしまうと、成長は止まる。そう強調する。

 「私は結果を出しても、いつも頭の中は次でした。『あー、よかった。今日は結果が出た。首の皮一枚、つながった』ではいけません。『結果が出た。では、もっとよくするためにはどうするのか』『結果が出たけど、よかった点は何か、悪かった点は何か。反省しよう』と。どういう結果が出ても次につなげることができるかどうか、です。次をどうするかは、自分でコントロールできる部分です。出た結果を素直に受け入れて、そこからもっとよくしていくにはどうするかです」

 打てなかったらどうしよう…。ベンチを気にしながら、野球をしてしまう選手も多い。

 「つまり、自分の結果に一喜一憂していては、次に向かいにくくなるということ。いいも悪いも、それを受け入れるしかないんです。そこから何を学んで次へ行くか。その繰り返しです。自分の結果への感情を超越した部分で自分の気持ちを保っていないと、レギュラーをつかんで結果を出し続けるのは難しいと思います」=つづく=(取材・構成=鈴村 雄一郎、楢崎 豊)

 ◆松井 秀喜(まつい・ひでき)1974年6月12日、石川県生まれ。43歳。星稜高時代、甲子園4度出場。92年夏の甲子園では5連続敬遠され、社会問題にまで発展。高校通算60本塁打。92年ドラフト1位で巨人入団。リーグMVP3度、首位打者1度、本塁打王、打点王各3度獲得。03年にヤンキースへFA移籍し、09年ワールドシリーズで3本塁打を放ちMVP。エンゼルス、アスレチックス、レイズを経て12年限りで現役引退。13年に巨人・長嶋茂雄終身名誉監督とともに国民栄誉賞受賞。15年にヤンキースGM付特別アドバイザー就任。日本通算1268試合、打率3割4厘、332本塁打、889打点。日米通算2504試合、打率2割9分3厘、507本塁打、1649打点。

 ※1月25日まで毎日午後4時配信

独占激白!松井秀喜
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