【センバツ】中村40年ぶり三十二の瞳の「奇跡」9回2死から1点

2017年3月21日6時55分  スポーツ報知
  • 初戦敗退に悔しそうに整列する中村ナイン(カメラ・谷口 健二)

 ◆第89回センバツ高校野球大会第2日 ▽1回戦 中村1―5前橋育英(20日・甲子園)

 1977年大会で部員12人ながら準優勝し「二十四の瞳」フィーバーを巻き起こした21世紀枠の中村(高知)が、40年ぶりの聖地で大健闘した。40年前の準Vメンバーがアルプスで見守るなか、5点を追う最終回に6番・岡上颯中堅手(3年)が二塁強襲の適時打。開幕直前にレギュラー2人がインフルエンザに感染するなど、アクシデントに見舞われながら「三十二の瞳」が意地を見せた。

 中村ナインの執念が目に見えない力となった。5点を追う9回2死三塁、岡上の打球は二塁手正面の内野ゴロ。ゲームセットかと思われた瞬間、ボールはイレギュラーバウンドし二塁手の頭上を越えた。三塁走者は生還。球場内に大歓声が巻き起こった。

 「ボールを引っかけてしまって、打った瞬間は『ダメか』と思いました」と岡上。スコアボードに40年ぶりに「1」の数字が刻まれたことに「奇跡は起こるんだなぁと思いました」と安どの笑みを浮かべた。

 試合6日前の14日、正捕手の中野聖大と一塁レギュラーの武田晴仁を含む4選手が発熱。翌日にインフルエンザと診断され、19日の開会式も欠席した。「聖大がおらんチームは、寂しいけん。早く戻ってきてほしい」。隔離された部屋に届けられた女子マネジャーからの手紙を見た中野は「どれだけチームに影響を与えたか分かった」と、目を潤ませた。武田は「何か自分にできることをやりたかった」と部屋でビデオ分析に没頭。16人全員が一丸となって、アクシデントを乗り越えようとした。

 選手の奮闘ぶりに、40年前の準Vメンバーも目を細めた。エース右腕だった元阪急の山沖之彦氏(57)は「自分は幸せ。ありがとう」と感無量。ベンチには山沖氏とバッテリーを組み、がんのため40歳の若さで亡くなった押川正志さんのキャッチャーミットが飾られた。学校関係者や地元の住民らは、この日の午前3時半にバス55台で学校を出発。アルプスを埋めんばかりの大応援団がナインを後押しした。

 横山真哉監督(54)は「次はここで勝つための練習をしていかないと」と表情を引き締めた。出るだけでは満足しない。「三十二の瞳」には、もう夏が映っている。(種村 亮)

 ◆中村の「二十四の瞳」 部員12人で初出場した77年春に準優勝と大健闘。高峰秀子や田中裕子の主演で映画化もされた壺井栄の小説の題名になぞらえ「二十四の瞳」とたたえられた。エース右腕・山沖の力投で1回戦の戸畑(福岡)戦は3―0の完封勝ち。2回戦の海星(長崎)、準々決勝の天理(奈良)、準決勝の岡山南も撃破。箕島(和歌山)との決勝は0―3で敗れた。

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