野球の名作漫画「キャプテン」38年ぶり復活!コージィ城倉氏が「プレイボール2」描く

2017年4月3日11時0分  スポーツ報知
  • 「プレイボール2」には城倉氏のちば氏に対する強い思いが込められている

 伝説の名作が38年ぶりに復活する。5日発売の集英社「グランドジャンプ」(以下グラジャン)で、33年前に41歳の若さで亡くなったちばあきお氏の名作「キャプテン」「プレイボール」のその後を描いた連載「プレイボール2」がスタートする。続編を描くのは「グラゼニ」などで知られるヒットメーカー・コージィ城倉氏。墨谷高校の野球部を舞台に、甲子園を目指す人間ドラマが展開される。今作に懸ける思いや見どころを、城倉氏に聞いた。(加藤 弘士)

 「キャプテン」や「プレイボール」は、野球マンガの不朽の名作である。80年代、中学や高校の野球部の部室には、何年にもわたって読み返されたこれら作品の単行本が、なぜかズラリとそろっていたものだ。このたび、城倉氏は「その後」を描くことになった。

 「そのまんま、描いてやろうと。本当にちばあきおが描いたみたいに描きたいんです(笑い)。リメイクものは、世の中にいっぱいある。でも『違う人間が続きを同じテイストで描く』というのは、史上初ではないでしょうか。作家が亡くなられた後に、続編を描こうとすることはご法度だと思うし、天に唾(つば)する行為だと思う。自分のタッチも消して描くわけですから、大きな賭けでもありますよね」

 城倉氏は小学校高学年だった1972年、「キャプテン」にハマった。当時はクラスの中でも「ドカベン」派と「キャプテン」派に分かれており、元々前者だった。だが読んでいるうちに、ちば氏の世界観に魅了された。そして昨年。グラジャン副編集長の増澤吉和氏とちば氏の遺族が「これらの名作を後世に残すため、何かできないか」と協議。城倉氏に相談したところ「続編を描きましょう」という話になった。

 「大好きなマンガでしたから。幸いご遺族の方も応援してくださってますし、マンガ雑誌にインパクトを与えられるんじゃないかなと。実は最初は気軽な気持ちでした。でも普通の繊細な漫画家なら、できなかったでしょう。反響が大きすぎたんです。いい意味で鈍感力がないと。アホなんですよ、僕(笑い)」

 続編の新連載が発表されると、多くの反応が寄せられた。声を上げたのは主に、子供の頃に同作品へと接した40代、50代の男性だった。

 「こんなに世の中のおっさんたちは『キャプテン』に思い入れがあるんだって、そこで初めて分かったんです。『キャプテン』って、すげえマンガなんだなあと」

 当時の「プレイボール」が最終回を迎えた78年春から、新たな物語は始まる。舞台は墨谷高校の野球部だ。谷口が3年、丸井が2年に進級し、イガラシは入学したばかり。3か月後には夏の東東京大会が開幕する。

 「ちばあきおって、練習しているグラウンドのシーンをいっぱい描くんです。あーだこーだ、みんなで言い合ったり。そういう描写が大好きなんです。普通の野球マンガはさくっと大会に行くんですけど、ちば先生はなかなか行かない(笑い)。試合を描いた方が盛り上がって、読者の人気は取れるんです。でもちば先生は『試合ばっかじゃつまらない。練習のシーンもオレは描くよ』と。そこはある意味、リアルですよね。部活をやっていると99%は練習で、試合は1%ですから(笑い)」

 谷口ら墨谷ナインは、甲子園に行けるのだろうか。

 「行けなくてもいいんじゃないかなと(笑い)。とことんちばあきおのテイストでいこうと思ったら多分、東東京大会の決勝で負けるんじゃないかな。甲子園に行って、勝って優勝したら、それはちばあきおの世界と違うんじゃないのかな?と。『ドカベン』のような王道的な考えでいけば、地方大会の途中で負けちゃうなんて、ありえないけど」

 名作の続きをそのままのテイストで描く心境を、ミュージシャンにたとえた。

 「藤井フミヤさんがキャロルのカバーアルバムを出しているんですが、アレンジがキャロルそのままなんです。それを聴くと『よっぽどキャロルが好きなんだな』と伝わってくる。そんな感覚です。どのくらい再現できるのか。おっさんたちをどれだけ納得させ、屈服させられるか。勝負ですね」

 ◆ちば あきお 1943年1月29日、満州生まれ。兄・ちばてつやのアシスタントを経て、67年に漫画家デビュー。「キャプテン」「プレイボール」は魔球を駆使する当時の野球マンガと一線を画し、等身大の登場人物が仲間と努力しながら成長する過程を描き、新たなスタイルを確立。ともにアニメ化もされた。84年、41歳で死去。温かみのある作品には今もなお、根強いファンが多い。

 ◆コージィ城倉(じょうくら) 1963年、長野県生まれ。中学・高校を野球部で過ごす。89年漫画家デビュー。代表作に「砂漠の野球部」(小学館)、「おれはキャプテン」(講談社)などがある。「森高夕次」名義で漫画原作者としても活躍し、講談社モーニングで連載中の、年俸にスポットを当てた新感覚野球漫画「グラゼニ」では第37回(13年度)講談社漫画賞を受賞。「江川と西本」(小学館)の原作も手掛ける。

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