甲子園応援「アゲアゲホイホイ」採用校は2から24へと激増! その謎に迫る

2017年9月11日12時0分  スポーツ報知
  • 「アゲアゲホイホイ!」と絶叫しながら踊る花咲徳栄の控え部員

 今夏の甲子園では本塁打数が68本と、前年の37本から大きく増えた。だが、激増したのは本塁打だけではない。アルプス席では「アゲアゲホイホイ」の採用校が前年の2校から24校へと増加。一大ブームを巻き起こした。わずか1年で「アゲアゲホイホイ」はなぜ、ここまで広まったのか。この夏、アルプス席で出場全49校のブラバン&控え部員に直撃取材を敢行した、高校野球ブラバン応援研究家の梅津有希子さんに聞いた。(構成・加藤 弘士)

 そもそも「アゲアゲホイホイ」とは何か。高校野球応援の定番だった「サンバ・デ・ジャネイロ」に合わせて「ハイヤハイヤー! アゲアゲホイホイー! もっともっとー!」などと掛け声を乗せるというもの。梅津さんの口調は熱を帯びる。

 「大ブームですね。ちょっと異常なぐらい。大会期間中は毎日どこかの学校がやっていました。対戦する両校が演奏している例もあって。もともと『サンバ・デ・ジャネイロ』は野球応援でも使う学校は多かったんですが、そこに報徳学園(兵庫)が『アゲアゲホイホイ』の掛け声をつけたことで、一気に広まっていったんです」

 「報徳の野球部員はあの曲を『クラブ』と呼んでいます。ちょっとシャンパンコールっぽいですし(笑い)。ちなみに報徳の吹奏楽部の部員は『サンバ』と呼んでいますね」

 報徳学園が始めたのは2014年頃。名門が奏でる応援だけに、対戦した高校がインスパイアされ、関西圏で徐々に広がっていった。

 「昨夏の甲子園に市尼崎が出ていて『アゲアゲホイホイ』をやったんです。市尼崎の吹奏楽部は毎年、沖縄の高校の演奏も担当します。代表校は嘉手納だったのですが、市尼崎が嘉手納に教えたところ、みんなこの曲で盛り上がった。ここから沖縄の高校にも広まっていったんです」

 関東でいち早く取り入れたのは、この夏の甲子園を制した花咲徳栄(埼玉)とみられる。03年センバツ準々決勝で東洋大姫路(兵庫)のグエン・トラン・フォク・アン投手と延長15回引き分け再試合の熱闘を演じたエースで、現在同校コーチを務める福本真史さんは野球応援フリーク。昨夏の1回戦後、「こんな応援が盛り上がっていたよ」と「アゲアゲホイホイ」の導入を呼びかけ、2回戦から採用した。

 「昨夏、花咲徳栄の部員は恥ずかしながらやっていたんですが、今年はかなり慣れたのか、水を得た魚のようにやっていました。超盛り上がっていましたね」

 梅津さんがこの夏、全49校の演奏をチェックしたところ、「アゲアゲホイホイ」を採用したのは24校。「どの高校を参考にしたのか」を調査すると、興味深い事実が浮き彫りになった。

 「やはり多いのは報徳学園で4校。YouTubeで『アゲアゲホイホイ特集』という動画があり、そこからというのが3校ありました。センバツでも同曲を演奏していた創志学園(岡山)は同校の吹奏楽部員に加え、系列の環太平洋大マーチングバンド部が爆音を奏でて、すごくカッコいい。創志学園を参考に、という学校も3校ありました」

 特筆すべきは採用のきっかけが「YouTubeで見た」「ツイッターで見た」という高校が多いことだ。

 「北海(南北海道)がこの夏、札幌円山球場の全校応援で盛り上がったアゲアゲホイホイの動画がツイッター上で拡散されました。日大山形はそれを見て採用したといいます。80年代に智弁和歌山の『アフリカン・シンフォニー』が広まったのは同校が勝ち進んだため、テレビで繰り返し流れた影響でしたが、今ではSNS。完全に現代社会の縮図ですね」

 しかし、この流れに乗らないという名門もある。

 「伝統応援にこだわる学校には『アゲアゲホイホイはやりません』という野球部もあります。智弁和歌山は以前からサンバ・デ・ジャネイロを演奏しているのですが、『僕たちはやりません』と明言していました」

 それでも「アゲアゲホイホイ」ブームは収まりそうにないと、梅津さんは分析する。

 「今後はさらに定番化するのではないでしょうか。やはり、応援している生徒たちにとって、楽しいんですよ。採用理由も『盛り上がる曲が欲しかった』『やっていて楽しい』という声が大きく聞かれました。一般生徒も「面白い」と喜びますし。掛け声も単純なので、初めて野球を見に来た子でもすぐにできますしね。この夏の甲子園を制した花咲徳栄がこの曲で盛り上がっていたことも、さらに広まる要素になると思います」

 この夏、49代表校のアルプス応援を体感し、あらためてこう感じたという。

 「野球部の控え部員たちは、アルプス席を盛り上げながらも、グラウンドから1秒たりとも目をそらさずに、仲間たちを真剣に、心から応援していました」

 ベンチ入りは果たせなかったが、勝利へと突き進む思いは控え部員も一緒。そんな願いが、聖地を熱くしているのだろう。

 ◆「明桜サバイバー」も大盛り上がり

 この夏、「アゲアゲホイホイ」の他に印象深かった曲は何か。梅津さんは藤枝明誠(静岡)がヒットを放った際に奏でられた「マグマ大使」を挙げた。

 「中日時代の落合さんのテーマ曲として知られてますよね。理事長先生のリクエストだそうです。落合ファンというわけではなく、マグマ大使好きだったとか」

 松商学園(長野)の足立監督は現在、休部になった社会人野球プリンスホテルの出身。そのため、同社の応援歌「それいけプリンス」を演奏していた。

 「社会人野球の曲といえば、神戸国際大付(兵庫)は上里田コーチが一光のご出身で、『GO GO一光』という応援曲を『GO GO国際』として、チャンステーマの一つに使っていましたね」

 青森山田はご当地感あふれる橋幸夫の「ねぶた節」。

 「前の理事長先生が橋幸夫さんと友達で『使わせてください』と。『ラッセイラ~』と抜群の郷土色があって、すごく良かったです」

 私立恵比寿中学の「MISSION SURVIVOR」を参考にした明桜(秋田)の「明桜サバイバー」も盛り上がっていた。

 「エビ中と明桜の吹奏楽部が秋田でのライブで共演しているんです。同校の吹奏楽部はポップス曲が得意で。秋田大会、甲子園と沸いていましたね」

 多くの高校が「狙いうち」や「サウスポー」ばかり演奏していた時代から、各校が独自の色を出す時代に入ってきたと梅津さんは言う。

 「『1曲ぐらいはウチしかやらない曲を入れたい』というオリジナリティーを求める学校も増えました。もっと独自に、もっと郷土色を出して、進化してほしいと思います」

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