【センバツ】明秀日立9回逆転!甲子園初出場初勝利…G坂本の恩師・金沢監督も春初勝利

スポーツ報知
9回1死二、三塁、池田の勝ち越しとなる中犠飛で生還して喜ぶ三塁走者の明秀学園日立・佐伯(カメラ・渡辺 了文)

◆第90回センバツ高校野球大会第1日 ▽1回戦 明秀日立(茨城)4─3瀬戸内(広島)(23日・甲子園)

 第90回記念大会が開幕。春夏通じて初出場の明秀学園日立(茨城)は、1点を追う9回に自慢の強力打線が2点を挙げて、瀬戸内(広島)に逆転勝ち。光星学院(現八戸学院光星、青森)監督時代に巨人・坂本勇らを育て、2012年秋に就任した金沢成奉監督(51)は、春5度目の出場で初勝利を挙げた。

 お立ち台に上がった金沢監督が、満面の笑みを浮かべた。光星学院時代は春夏通じて8度の甲子園出場を誇る名将。明秀学園日立の監督就任6年目、ようやくたどり着いた甲子園で待望の1勝だ。「感無量です。なかなか甲子園に出られない日が続きましたが、ようやく明秀日立の金沢としてスタートできた。子供たちのおかげで、一歩進めました」。自身は春5度目の出場で、初勝利となった。

 土壇場でも信念を貫いた。1点を追う最終回。無死一塁で代打・佐伯尚吾にバントのサインは出さなかった。「打って打って打ち勝つのがウチの野球。全く迷いませんでした」。佐伯が右前安打でつないで無死一、三塁とすると、今度は見事な操縦術を見せた。

 打席に入る主将の増田陸に、「力みは敵だぞ。普通にやれば1点は取れる場面。ボールに集中しろ」と伝令を送った。

 攻守にプロ注目の好選手だが、指揮官が「イノシシみたいなヤツ」と表現するほど、気負いすぎるのが欠点。この日もここまで2度の走塁死を犯してチャンスをつぶしていた。だが、この言葉で冷静さを取り戻し、右前に同点打。1死二、三塁からは池田陵人の中犠飛で決勝点を挙げた。

 同じ過ちを犯さなかった。昨秋の関東大会決勝(対中央学院)。1点差の9回にスクイズを失敗して準優勝に終わっていた。昨夏の茨城大会4回戦(対竜ケ崎一)も、現DeNAの細川が4番でエースだった16年夏の茨城大会決勝(対常総学院)も、スクイズに失敗して惜敗。「悔いだけは残したくないという思いで強攻しました」と、胸の内を明かした。

 「勝ち方にもいろいろあって、一番いいのは逆転勝ちやサヨナラ勝ち。非常に大きな1勝だと思う」と指揮官。甲子園独特の雰囲気にのまれ、投打に実力を出し切れず苦戦したが、目指すは04年の済美(愛媛)以来となる初出場V。優勝候補の一角が最高のスタートを切った。(片岡 泰彦)

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