駒大苫小牧・大西、先輩・田中将大の失敗教訓に練習 静岡との初戦勝って「日本一取る」

スポーツ報知
ブルペンで気迫のこもった投球をする駒大苫小牧・大西

 第90回記念センバツ高校野球大会が23日、甲子園球場で開幕した。きょう24日に静岡との初戦(2回戦)を迎える駒大苫小牧ナインは開会式に参加し、その後、大阪・豊中市内で約2時間、調整した。先発が濃厚なエース右腕・大西海翔(かいと、3年)はこの冬、同高校OBで、米大リーグ・ヤンキースの田中将大(29)の“失敗”を教訓にして練習。田中を擁した2005年春でも突破できなかった『3回戦の壁』を、MAX130キロ右腕が乗り越える。

 すっと深呼吸して、帽子を見つめる。いつも通りの“儀式”を終えた駒大苫小牧の大西は、練習場の、ブルペンのマウンドに上がった。指先の感触を確かめるように投げ込んだ36球。最後はこん身の真っすぐで、最終調整を終えた。「このセンバツに向けてやってきて、ようやくここまで来られた」と、右腕は夢舞台に思いをはせた。

 センバツを見据え、この冬、大西が課題としてきたのは直球のキレ。昨秋の神宮大会では、初戦で大阪桐蔭に4失点8安打と打ち込まれた。「直球のキレを上げないと勝てない」。そこで冬場に取り組んできたのが、偉大な先輩の“失敗”を教訓とした練習法だった。

 田中は2005年夏の甲子園で連覇に貢献し、翌年の夏も準優勝と、駒大苫小牧の黄金期を作り上げた。それでも、センバツでは苦戦し、2年春の05年大会では2回戦で神戸国際大付に敗れた。2年冬に変化球を多投したせいで左肩が開き気味となり、その結果、フォームを崩して直球のキレを失ったという。当時を知る茶木圭介部長(40)の指導のもと、大西は、冬場のブルペン投球では直球を中心に投げ込んだ。「キレは良くなってきている」と手応えを感じている。

 春は、05年と14年の2回戦が最高。越えたい壁だが、大西は「初戦を勝たないと次はない。まずは初戦を全力で戦い、日本一を取りたい」と言い切った。呼吸を整え、帽子を見つめる。俊足を生かした機動力とつなぐ打撃で、得点力も高い静高打線に向かうエース。田中と同じルーチンを済ませ、勝負のマウンドに上る。(清藤 駿太)

 ◆大西 海翔(おおにし・かいと)2001年1月20日、江別市出身。17歳。上江別小1年から野球を始め、中学では江別第一中の軟式野球部で「2番・投手」として活躍。高校では2年秋の室蘭地区予選から背番号1でベンチ入りし、秋の全道優勝に貢献した。180センチ、76キロ。右投左打。家族は両親と姉。

野球

×