【センバツ】明徳義塾・馬淵監督、史上5人目50勝…谷合が史上4本目逆転サヨナラ3ラン

スポーツ報知
9回2死一、二塁、中央学院・大谷(左端)からサヨナラ勝ちし抱き合って喜ぶ明徳義塾ナイン(カメラ・谷口 健二)

◆第90回センバツ高校野球大会第3日 ▽2回戦 明徳義塾(高知)7x―5中央学院(千葉)(25日・甲子園)

 明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督(62)が劇的な勝利で中央学院(千葉)を破り、史上5人目の春夏通算50勝目を挙げた。4―5の9回2死無走者から反撃し、4番の谷合悠斗外野手(3年)が中越えに大会史上4本目の逆転サヨナラ3ランを放った。智弁和歌山は、元巨人・中谷仁コーチ(38)の指導を受けた控え投手の継投で富山商に競り勝った。智弁学園(奈良)は、公式戦デビューの4番・藤村健太内野手(2年)の決勝二塁打で日大山形に逆転勝ちし、センバツ初の兄弟校同日勝利となった。

 4万人の大歓声が一瞬、甲子園を包んだ。1点を追う9回2死一、二塁。谷合は、中央学院のプロ注目右腕・大谷拓海の高めに浮いた直球をバックスクリーンへ運んだ。9回2死走者なしから作った絶好機。それまで4打数無安打だった主砲が逆転サヨナラ3ランだ。大会史上4本目で14年ぶりの劇弾。「歓声も聞こえない状態で(ダイヤモンドを)1周しました」。ホームベースで待ち受けたナインから手荒い祝福を受けた。

 1年夏から4度目の甲子園。持ち前の勝負強さを発揮し、馬淵監督に甲子園通算50勝をプレゼントした。主砲は昨秋の明治神宮大会で優勝した後、右肘と左足首の手術を決断。指揮官に相談すると「(手術)しろ。治るやろ。(センバツには)間に合うやろ」と背中を押された。昨夏の甲子園では好機で三振し、ラストバッターとなった。「何であそこを振ったんだろうって。甲子園には思い残すことがある」。悔しさをバネにリハビリを続け、最高の形で「最後の打者」に躍り出た。

 試合後、指揮官はまな弟子に握手を求めた。谷合は「まさか監督から…」と驚いた。1990年の監督就任から28年。「通過点」と表現してきた50勝にたどり着いた。「(サヨナラ弾は)ベンチから飛び上がりました。この試合は忘れられないでしょうね。50勝出来るなんて夢にも思っていなかった。野球で負けて、勝負で勝った試合もあった。ここまであっという間。区切りはうれしいですね」。百戦錬磨の知将も、思わず感無量の表情を浮かべた。

 「生涯現役か」の問いには「それはない」と即答し、報道陣の笑いを誘った。「もうそろそろですね。勝負に対する執念がなくなったら、女房と旅行に行きます」と穏やかな表情を見せていた。(青柳 明)

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