聖光学院・内山、マネジャー転身し左投げに改造

スポーツ報知
東筑との初戦に勝利して、記録員の内山(右)は涙を浮かべて矢吹主将とグータッチ

 第90回記念センバツ高校野球(甲子園)に出場した学校では、それぞれの立場で夏へ第一歩を踏み出した選手たちがいる。記録員でベンチ入りした聖光学院(福島)の内山博道(3年)は、マネジャーとしてチームをさらに強くすると決意した。

 聖光学院・内山は、誰よりもチームのことを考えている。道具の整理や試合時のスコアブック記入など、役割は多岐にわたるが、「マネジャーがしっかりしていないとチームは弱い」と力強く語った。

 高校入学時は選手だったが、右の肘や肩の故障もあり、1年冬にマネジャーに転向した。最初は言われたことをやるだけだったが、次第に先のことを考えて動くようになった。今では「練習前に道具をベンチに並べて、すぐに始められるようにしている」。チームのことを思って、“利き腕”まで変えた。

 1年秋の練習試合で相手高のエース左腕に抑えられて敗れた。対策をしようにも同学年に左投げはわずか3人。そこで自ら進んで左投げに挑戦した。「字を書くのもハシを持つのも左手にした」と努力し、球速こそ出ないものの、左腕の球筋を選手たちに植え付けた。

 頑張る点は野球だけではない。昨秋の明治神宮大会で他の出場校と同じ宿舎となり、エレベーター内で他校の選手の「聖光の選手って(体が)小さいよな」という言葉を聞き、奮起。スタッフ陣に頼んで業務用の大型炊飯器を買ってもらい、今まであった炊飯器と合わせて同学年の選手用に40合の米を毎日、冷たい水で研いで、炊き上げた。そんな日々の苦労はセンバツ1勝につながったはずだ。

 夏に向け、「どれだけ感謝できるか。相手のために頑張る気持ちがあれば、自然と良くなる」と内山。グラウンドには立てないが、記録員として、ベンチの中から選手とともに戦い続ける。

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