遠軽、復帰の佐藤監督に春1勝届ける 3か月謹慎明け今大会から指揮

スポーツ報知
春季全道大会の組み合わせが決まり、校名カードを指さす遠軽・影山主将(右)と西原副主将

 第57回春季全道高校野球大会(28日開幕・札幌円山)の組み合わせ抽選会が23日、札幌市内で行われた。3年連続15度目の出場となる遠軽は、30日の1回戦で士別翔雲と対戦。2月13日から3か月間、高野連へ部内問題の報告遅れで、佐藤貴之監督(46)と阿波克典部長(32)が謹慎処分を受けた。ナインはOBの力も借りながら、自主性や結束力を高め地区予選を突破。就任10年目の指揮官に春の全道初勝利を贈る。

 初戦の相手が決まり、身が引き締まった。遠軽は春の全道に限れば、準優勝した2002年以来、16年も勝利から遠ざかる。主将の影山裕利(ゆうり)中堅手(3年)は「遠軽らしい打ち勝つ野球で、まずは1勝」と決意を口にした。

 2月のことだった。高野連に対し部内問題の報告が遅れ、2月13日から3か月間、監督と部長が謹慎処分を受けた。「試合はネット速報で見ていました」と今大会で復帰する佐藤監督。指揮官不在のグラウンド―。それでも、ナインは前向きに白球を追い続けた。

 腐るどころか、熱が入った。副主将の西原立揮(たつき)左翼手(3年)は「やってやるしかなかった。メニューも自分たちで考え、やらされる練習はなくなった」と振り返る。一人20球だったフリー打撃は、1球1球集中できるように、10球に減らした。アップは手拍子を入れ「飽きずに楽しくできるように」(西原)工夫した。地区予選は村田貴憲副部長(45)が指揮を執ったが、サインはなし。選手各自が相手の配球を読み、隙を突いて全3試合で2桁安打、計30得点と打ち崩した。

 聖地を知る援軍も後押しした。佐藤監督は冗談交じりに笑う。「電話でお願いしてね。分身なので、安心ですよ」。元教え子で、13年センバツ出場時の主将・柳橋倖輝さんらOB数人が母校に駆けつけ練習をサポート。“臨時監督”としてノックを打ち、時には打撃投手を務め、経験を伝えた。

 就任10年目の佐藤監督は、春の全道は未勝利だ。「春に勝ってないのは知っている。結束は高まったし、絶対勝ちたい」と影山。ひと味違う姿を見せ、指揮官に春初勝利をプレゼントする。

(宮崎 亮太)

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