専大北上の元巨人・中尾監督、就任1年目で初東北大会切符「ホッとした」

スポーツ報知
試合後、スタンドにあいさつする専大北上・中尾監督

◆春季高校野球 岩手県大会 ▽準決勝 専大北上10―5盛岡三(26日・一関運動公園)

 10校が春季東北大会(6月7日開幕、青森)出場を決めた。岩手準決勝は専大北上が15安打の猛攻で盛岡三に10―5で勝ち5年ぶり16度目、昨年3月に就任した元巨人の中尾孝義監督(62)が初の東北切符をつかんだ。青森準決勝は弘前東が青森に10―0の6回コールド勝ち。4番・中堅の桜庭佑希也(3年)が2本塁打5打点の活躍。秋田準決勝は今春のセンバツに21世紀枠で出場の由利工が大曲に12安打で5―2。3戦連続2ケタ安打で春初出場を決めた。

 複雑な笑みを見せながら、中尾監督はベンチ裏へ引き揚げてきた。5回に7安打を集中して一挙7点を奪ったものの、6回に4安打で2点を許すと、7回は守備のミスが続き2失点。「いいところも悪いところも全部出た。10点取ったから勝てましたけど」と苦笑した。それでも、自身初の東北大会出場を決める決勝進出に「よかった。ホッとしました」と本音も漏れた。

 昨年3月に監督就任も、春、夏、秋といずれも県大会2回戦敗退。さらに昨年10月の最後の練習試合では、今春のセンバツに出場した明秀日立(茨城)に32失点、作新学院(栃木)にも15点以上を奪われた。「県外の強いところに、コテンパンにやられた」。そのチームを鍛え上げ、決勝の舞台まで駆け上がった。

 テーマは「自立」だった。「冬場は体幹、腹筋、背筋、ランニング。思い切りやりました」と徹底した肉体強化を課したが、それは午前のメニュー。この日、4安打と活躍した佐々木龍樹主将(3年)は「午後は自主トレ。自分でどういう練習をするか、各自で考えた。自主性が出たと思います」。中尾監督も「意識はだいぶ変わったと思います。技術的にもそうですけど、野球観というか」とナインの成長を認めた。

 27日の決勝は、センバツベスト8の花巻東との対戦。「向こうは隙を突いてくる野球。ウチはまだまだ隙だらけ。胸を借りるつもりでやりますよ」。夏の甲子園へ、最大の障害となる相手との絶好の腕試し。冬場に培ってきた力で、思い切りぶつかっていく。(山口 泰史)

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