牧田、メジャーで大谷と対戦熱望!メール未返信へのリベンジだ「返事なかった」

スポーツ報知

 西武からポスティングシステムを利用し、米大リーグ・パドレスへの入団が決まった牧田和久投手(33)が10日、埼玉・所沢市内の球団事務所内で移籍の報告会見を行った。年俸190万ドル(約2億1000万円)の2年契約で、パ軍から西武への譲渡金は50万ドル(約5700万円)。希少価値の高い下手投げで、メジャー登板を果たせば日本人初だが「自分の代わりはいない。それが強み」と自信を見せた。対戦を熱望する相手には、ドジャース・前田、エンゼルス・大谷の名前を挙げた。

 夢をかなえた男の表情は、晴れやかだった。西武とパドレスのチームカラーでもある青のネクタイを締めて会見場に現れた牧田は「無事に決まってホッとしてます。目標? 40、50、60…70試合投げられたら十分かなと思います」と満面の笑み。登板が40試合以上になると5試合ごとに5万ドル(約570万円)、最大で60試合の25万ドルの出来高が付いた契約だが、今季の目標に掲げた70試合の登板も実現可能な数字だ。

 英語は話せず、メジャーの打者についても「詳しくない」という右腕は、対戦を熱望する相手に日本人2人の名前を挙げた。一人は同じナ・リーグ西地区のドジャース・前田。一昨年4月の米デビュー戦ではパドレスの本拠地・ペトコパークで自ら本塁打を放ち、勝利投手になった。当時のことを指摘しながら牧田は、冗談とも本気ともつかない口調で「カーブで打ち取りたいと思います」と警戒感を口にした。

 もう一人が同じポスティングシステムで、一足先にエンゼルス入団を果たした大谷だ。交渉の過程では連絡を取り合い、自らの移籍先が決まると「対戦を楽しみにしています」とメールを送った。だが…。「返事? なかったと思います」。昨季まで日本での5年間は9打数無安打。後輩に対しては、米国でも完璧に抑えてみせる。

 挑戦には、元ロッテで同じサブマリンの渡辺俊介氏(41=現新日鉄住金かずさマジック)の後押しがあった。渡辺氏は37歳の13年オフにRソックスとマイナー契約。その後は独立リーグを渡り歩くも、メジャー昇格はならなかった。そんな先輩から「自分にはチャンスがなかったけど、牧田にはある。やってほしい」と背中を押された。

 静岡・静清工(現静清)時代の1年秋に指導者から勧められ、取り組み始めた下手投げ。「アンダースローにしていなかったら、今ここにいなかったと思います。自分の代わりはいない。それが強みです」。サブマリンの誇りを胸に、牧田は海を渡る。(今井 真之)

 ◆牧田に聞く

 ―交渉期限が迫る中で移籍が決まった。

 「これくらいの時期かと思っていたので、焦りはなかった。待っているだけだった」

 ―メジャーでもやれると思えたきっかけは。

 「(昨年3月の)WBCのオランダ戦。(メジャーでレギュラーの)シモンズ、ボガーツ、プロファー選手を凡打に取れたことで、手応えを感じました」

 ―パドレスの印象は。

 「(ナ・リーグ西地区4位と)そこまで強い球団じゃないけど、若手が多くて、非常にやりがいのあるチームだなと思います」

 ―施設見学もした。

 「グラウンドでは選手が練習していて『ナイス・トゥ・ミーチュー』とあいさつした。裏方さんは日本語で話しかけてくれたし、いい環境だと思いました」

 ―渡米の予定はいつ。

 「2月になると思います。ビザの関係もあるので」

 ◆牧田 和久(まきた・かずひさ)1984年11月10日、静岡・焼津市生まれ。33歳。静清工(現静清)で下手投げに転向し、平成国際大、日本通運を経て2010年ドラフト2位で西武入団。11年に新人王。通算成績は276試合に登板し53勝49敗25セーブ54ホールド、防御率2.83。13、17年のWBC日本代表。177センチ、85キロ。右投右打。昨季年俸1億円。

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