エース大谷、初4番打!日本人最速22戦目で就任

スポーツ報知
日本人選手の先発4番成績

◆エンゼルス2―4ジャイアンツ(22日・アナハイム)

 【アナハイム(米カリフォルニア州)=小谷真弥】エンゼルスの大谷翔平投手(23)が22日(日本時間23日)、日本人最速の4番初安打をマークした。本拠地のジャイアンツ戦で「4番・指名打者」で初の先発出場。6回の第3打席で右前打を放ち、4打数1安打だった。日本人選手で4番経験者は新庄剛志、松井秀喜、田口壮、福留孝介に次いで5人目で、チーム22試合目での就任は最速。4番初試合で安打を放ったのは福留孝介(5打数3安打2打点)以来2人目だ。

 ただでは倒れない。大谷は打線のド真ん中で執念を見せた。4点を追う6回1死一、二塁、2ボール2ストライク。クエトの低めに沈むチェンジアップに体勢を崩されながらも、最後は右手一本で拾った。ライナーで右前へ伸びる一打。これが4番初安打となった。

 「たまたまプホルス選手が欠場の試合。(4番は)予想はしていなかった。どこにいても変わらないと思っているので、しっかりと自分の持っている物を出せればいいと思っていきました」

 メジャー7位の通算618本塁打を誇るプホルスの休養で巡ってきた大役。2試合ぶりの野手スタメンは「球場に来てから言われた」とサプライズだったが、重圧など感じるヒマはない。この日は試合前にブルペン入り。二刀流で誰よりも忙しい日々を送る23歳は打者の仕事にフォーカスした。

 「投手の間合い、(クエトの)チェンジアップの軌道。捕手も(20日のハンドリーからポージーに)変わっていたので、どういうカウント別の配球なのかを見ながら入れた」

 初回2死一塁、4回1死とチェンジアップに2打席連続三振。トルネード、クイックと1球ごとに投法を変える通算124勝右腕、J・クエトに完全に抑え込まれたが、3打席目で同じ球種をはじき返した。ソーシア監督は「クエトは変えてくる腕の振りやタイミングに慣れないといけない。球種の多さと緩急差はメジャートップレベルだ。第3打席目は難しい球。よくやっていた」と対応力を高く評価。「(4番で打つ)準備はできている。今後も状況に応じて起用することもあるだろう」と今後も4番で起用する可能性を示唆した。

 1シーズンで3試合以上先発登板している選手が4番で出場したのは61年のドン・ラーセン以来57年ぶり。メジャーではベーブ・ルース、ジョージ・シスラーら過去14人しかいない。またも歴史を作ったが、大谷は感慨にふけることはない。

 「もうちょっと早い段階で1本出ていれば違う流れになった。でも、最後に何とかチャンスをつくりながら、ワンチャンスをものに出来るか出来ないかのところでの負け。ただでは終わらなかったというのはすごい大事」

 地位も名誉もチームが負けては意味がない。常識を覆し続ける二刀流男の本質が垣間見えた。

 ◆ルースは25戦「投手で4番」

 日本ではクリーンアップと言えば3~5番打者の事を指すが、米国ではクリーンアップヒッター(CLEANUP HITTER)は、走者をかえす(掃除する)意味で4番打者だけを指す。

 1918年、レッドソックスのベーブ・ルースは13勝、11本塁打をマークしたが、先発4番に74試合座り、うち11試合が「投手で4番」(翌年も14試合)だった。ただし、ヤンキース移籍後は、強打のルー・ゲーリッグの前を打つ事が多く、キャリア通算での先発4番は通算536試合。最も多いのは当時、メジャーの最強打者が座る3番で、1738試合もあった。

 4番試合が最も多いのは通算504本塁打を放ち、オリオールズ時代、カル・リプケンと3、4番を組んでいたエディ・マレーで2038試合(日本プロ野球では、野村克也の2259試合)。また、メジャー初戦から4番に座って1年目に126試合も入ったのは86年レンジャーズのピート・インカビリア(95年にロッテに在籍)がいる。

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