元巨人のグラッデン氏、大谷と対決したかった 内角攻められたら「殴りにいく」
1994年に1番打者として長嶋茂雄監督初の日本一に貢献したD・グラッデン氏(現ツインズ専門ラジオ解説者)が大谷について答えてくれた。(聞き手・金岡 美佐)
―大谷の打者としての印象は
「一昨日(11日)日、打撃練習を初めて見たが、特別な選手。スイングはいいね。とてつもないパワーもある。でも本当に二刀流をずっと続けるのかな?いずれは投手か、打者のいずれかを選ぶことになるんじゃないだろうか?」
―大谷とイチローを比べると?
「タイプが異なる打者だ。イチローは単打を打ち、オオタニは本塁打を打っている。オオタニは3000安打は無理だろう」
―松井(秀喜)氏と比べると?
「似てるね。マツイは外野手としても優秀だった。オオタニは守備もやる?オオタニの打球は高く飛ぶが、マツイはライナー性の打球が多かった」
―オオタニはホームランバッターの印象?
「そう。メジャーで十分やっていけるだろう」
―オオタニで思い起こす選手は?
「体格が似ているのはダリル・ストロベリー(83年新人王。88年本塁打王、通算335本塁打)かな。細身で背が高く、手足が長い。バットスピードも速い」
―ピッチングはどう?
「いい球を投げていた。直球でストライクが取れ、スライダー、カーブもよかった。今日はあまりスプリットを投げなかったね。6回にピンチがあったが、うまく切り抜けた。若い投手ながら、マウンドで非常に落ち着いている。これからメジャー打者の特徴を把握していくにつれ、更によくなるだろう。彼は研究熱心だと聞いている。それをやり続ければ、心配ないだろう」
―投手では誰か思い起こせる?
「これまでに見たことがないタイプ。あれほどの長身から剛速球を投げる稀な投手。誰をと聞かれても、思い浮かばない。あえて言うなら、オオタニ本人だろう」
―彼が内角に投げてきたら、殴りに行く?
「(笑いながら)殴りにいくさ。冗談は抜きにして、若い頃に対決したかったよ。どれほどの球か、自分の目で確かめてみたかったほど魅力的な選手だ。それと彼に言いたいことがある。今日マウンドを降りた時、球場のファンはスタンディングオベーションで拍手を送っていたが、帽子を持ち上げなかった。やるべきだったよ。それは彼に伝えといてくれ」
―日本での思い出はありますか?
「日本でプレーしたのはかなり前だが、楽しかった。マツイとチームメートだった。あの年は読売ジャイアンツが日本シリーズを制した。オチアイとも一緒にプレーした。彼は日本初のフリーエージェントだった。楽しい経験だった」
―日本での一番の思い出は?
「東京ドームへ行くのが楽しみだったし、日本の文化に触れるのも楽しかった。日本語も覚えたよ。『ビールください』とかね。あとは『ぶち殺すぞ』とか。どういう意味だっけ?ああ、そうだった。ハシモトから教えてもらったよ」
―(中日との同率決戦の)10月8日のことは覚えている?
「覚えている。キャンプで宮崎へ行ったのも楽しかった」
(ここで同氏の1994年5月11日の乱闘シーンの動画に見入る)
「それ、乱闘の動画? 11日があの乱闘からちょうど24年経ったんだ」
―100マイルの球を打ったことはある?
「もちろん。タイミングさえ合えば打てる」
―100マイルは誰が投げた?
「ノーラン・ライアン。ランディ・ジョンソンも」
―大谷へアドバイスするなら?
「彼は敵チームの選手だ。エンゼルスの選手で、ツインズの選手ではない」
◆ダン・グラッデンとは 1957年米カリフォルニア州生まれ、60歳。94年に巨人入りし主に1番打者として15本塁打し、日本一に貢献した右打ちの外野手。1年で帰国したが、乱闘騒ぎも起こすなど気迫あふれるプレーが売りだった。米国では1983~93年までメジャーで通算1196試合にプレー、1987、91年と2度ツインズのワールドシリーズ優勝の立役者の一人となった。帰米後の2000年から、ツインズ向けラジオ中継の解説者を務めている。