イチロー、ず~っと出る 日本開幕限定復帰じゃない「いつも期待を裏切りたい」

スポーツ報知
充実した表情でバットを振るイチロー(カメラ・中島 傑)

 マリナーズ・イチロー外野手(45)が16日(日本時間17日)、アリゾナ州ピオリアで米球界19年目のシーズンへ向けてキャンプインした。昨季は5月3日にメジャー出場の前提となる40人枠を外れ、会長付特別補佐に就任。マイナーからの招待選手として現役に復帰したレジェンドは、フリー打撃で新たな打撃フォームを披露して快音を響かせた。日本で3月20、21日に行われるアスレチックスとの開幕カード(東京D)へ順調に滑り出した。

 渡米19年目は、日米通算28年目。現役復帰したイチローは、日米のファン、報道陣の視線を一身に受けた。「『イチロー選手』と言われるのは気持ちいいね。ここにいる誰もそんなこと(選手でキャンプ)を想像していないと思うけど、僕にとっては大きな記念日ですよね」。感慨深そうに約2時間20分汗を流して、キャンプ初日を終えた。

 昨季は所属チームが決まらず、キャンプインは3月。5月3日には40人の枠を外れ、その後は試合に出場することなく会長付特別補佐としてチームに同行してシーズンを終えた。今季はマイナーからの招待選手としてキャンプに参加。これまでにない立場でのスタートだが「あれ(5月3日)からずっと(選手への思いを)秘めてはいました」と闘志を燃やした。

 ベンチ入りメンバーが通常の25人から28人に増える東京Dでの開幕カードは、ベンチ入りが濃厚。だが、その後メジャーに残れるかは白紙だ。チームの若返りの波もあるが、正中堅手のスミスが右肘痛で離脱するなど追い風も吹く。「いつも期待を裏切りたいという気持ちはある。これは誰もやっていないから。判断というか、安易な責任のない意見かな。そういうのを裏切りたいと思っています」。独特のイチロー節で、自信をのぞかせている。

 この日のフリー打撃では膝をやや深く曲げて腰を落とし、バッドのヘッドを投手寄りに向ける新打法も披露。25スイングで5本のサク越えを見せたがフォームについて「そんなことを言わなくてもいいんじゃない」とけむに巻くなど、新たな一歩へ向けて試行錯誤を重ねているようだ。

 サービス監督も「シーズンを通してプレーをし続けるということに、彼は誰よりも真剣に取り組んでいる。誰よりもエネルギーがあり、常にプレーできる状態にしている」とたたえる存在となっているイチロー。新たな挑戦が始まった。(安藤 宏太)

 ◆胸に「改善」Tシャツ「恥ずかしい」

 マリナーズナインに16日(日本時間17日)、日本語の漢字で「改善」と書かれたTシャツが配布された。胸部分の2文字の下にはローマ字で「KAIZEN」と記されているという。日本で開幕戦が実施されることもあって、選手ロッカーにもこの漢字が貼り出された。製造業などで成功へのキーワードとして米国で定着しており、チームのスローガンのような言葉にもなりつつある。サービス監督は「日本の選手もいるし、今の我々に必要なことでもある。ロースターやコーチ陣にも大きな変化があったので、これを楽しんでいこうと思っている」と期待した。

 クラブハウスではさっそく一部の選手が着たが、イチローは着用せず。これまで球場入りの際に、日替わりでおもしろTシャツを着て注目を浴びていたレジェンドだが「なかなかキツイね。僕が着るのはちと恥ずかしい。どっちかというと内に秘めるものだし。ドーンとTシャツに出されてもね。彼らには漢字ブームだからね。とても抵抗あります」と苦笑いだった。

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