【DeNA】池田球団社長インタビュー「ハマスタを文化遺産に」

2016年1月19日10時0分  スポーツ報知

 ハマスタを文化遺産に―。DeNAが、本拠地の球場運営会社「横浜スタジアム」の子会社化を目指す株式公開買い付け(TOB)の申し込みが、20日に締め切られる。すでに株式全体の過半数を取得しており、買収成功によって可能となる球団と球場の一体経営で黒字化を図る。池田純球団社長(39)がスポーツ報知のインタビューに応じ、TOB実施の背景や地域密着に向けた今後の取り組み、2020年の東京五輪へ向けた協力姿勢などについて語った。(聞き手・長田亨、久保阿礼)

〈1〉一体経営で 黒字目指す 今季で球界参入5年目を迎える。米大リーグなどでは主流となっている、球団と球場の一体経営。球場は数億円の黒字、球団が数億円の赤字だった。こうした“ねじれ”を解消するために、昨年11月にTOBの実施を発表。申し込みの締め切りが近づいてきた。

 「家を買うようなものだと考えています。今までは借家、賃貸だったのが、これからは地域に根ざしてやっていけます。議論は(参入直後の)2011年12月頃、球団と球場が共存共栄できるようにしっかりやろう、という形で始まりました。改革を進める中で、昨年の夏に観客動員数180万人という数字が見え始めました。稼働率も9割近い。ホテルだと宿泊をお断りするような状況。劇的に上を目指すのは難しいという状況になりました」

 神奈川県には横浜、川崎、相模原と3政令市があり、人口は約900万人と首都圏では東京に次ぐ規模。一体経営は地域密着へ向けた宣言でもある。今季からビジターのユニホームの胸には、企業名「DeNA」ではなく「YOKOHAMA」を入れる。地元の約72万人の子どもたちにベースボールキャップをプレゼントし、ナイター開催日の午前中には外野を無料開放する。斬新な取り組みが目立つ。

 「TOBをきっかけに、より横浜に根付いた球団づくりを目指します。市民球場的な性質も持っているので、年間の半分は市民の方々が活用できる形に。首都圏各地では(20年の東京五輪に向けて、劇場やホールの改修、建て替えが相次ぎ)コンサート会場が少なくなっています。開放的な球場なので、周りの方々に理解してもらいながら、市民に喜んでもらえるイベントを開催したいですね」

〈2〉欧米の施設70以上視察 理想を求め、欧米のスタジアムを研究してきた。

 「これまで70以上のスタジアムを見てきました。野球、サッカー、バスケットのアリーナとか。参考になるのは(米カリフォルニア州・パドレスの本拠地)ペトコ・パークですね。横浜スタジアムにも歴史がある。ベーブ・ルースのメモリアルレリーフがあったり。歴史はお金で買えません。プロ野球なので、本物を追求したい。(人工芝から)天然芝も検討したいと思いますが、コンサートや市民の方に利用してもらうことを考えると維持管理が難しいかもしれない」

 最近では球団職員がサッカー、ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントを見学。

 「すごく参考になりましたね。バイエルンは巨人に近いイメージ。ドルトムントはドイツ中からあまねく、みんなが好きなチーム。強いし、球団の経営もしっかりしている。かつ、球場自体も満員。黄色い壁であったり、いつもすごい高揚感がある。そういったブランド力は、まだ持っていないので…」

 では、ハマスタはどうなるのか。「現段階で多くは明かせません…」としながら、心は熱くなった。

 「ずっと言ってきたのは、球団カラーの球場にしようということです。より高揚感や一体感が強くなります。選手たちもホーム球場という意識が高まるでしょう。今の座席はオレンジなので、これをブルーに変えていきたい。将来的な夢は『格好いいな』と言ってもらえる球場になることです。ボールパーク、スタジアムとして文化遺産的な価値は増すと思っています」

〈3〉東京五輪の開催視野に 2020年には東京五輪・パラリンピックが開催される。野球・ソフトボールは今年8月、正式競技として採用される見通しだ。開幕戦、決勝戦の開催が確実な東京ドーム以外は、これから選定されていく。

 「五輪で横浜スタジアムを活用するということは、五輪後のことを考えても良いことだと考えています。ここは駅から近く、立地も良い。大きなイベントに向かって、野球、球場の価値を高めていきたいですね」

 経営の合理化と効率化に着手。顧客管理を徹底しファンサービスも拡充した。 「経営の安定、チーム力の強化、戦う場所である横浜スタジアムの改革。これらを三位一体でやる。経営はしっかりしてきたので、あとはチーム力とスタジアム改革。参入当初は球団は30億円近い赤字でしたが、今年は5億円を切るぐらいになりました。チーム強化には健全な経営が必要です。選手総年俸は12球団で最下位。現有戦力は成熟期に入りますし、補強費も必要です。球団の価値を上げ、フリーエージェント(FA)で選手に出ていかれない球団にしたい」

 球団経営、スタジアム改革も必要だが、ファンの心をつかむのはまずは「勝つ」ことだ。昨年1月、南場智子氏(53)がNPBでは女性初のオーナーに就任。前半戦は首位で折り返したが、最終的には最下位に沈んだ。今年は球団初のクライマックスシリーズ進出、1998年以来の優勝を目標に「是が非でも勝ちたい」と力を込めた。

 「地域が盛り上がり、お客さんにも来てもらえた。ラミレス新監督は『1年目から結果を出す』と言っています。『勝つ』という意識を持った監督ですし、参入初年度の4番打者。選手のことも知っている。チームの把握には時間もかからないでしょう。目標は低いとダメ。優勝です。勝てる土壌はできていると思っています。絶対に勝たなきゃいかん、と思っています」

 機は熟した。ハマっ子から愛される球団が、フロント、現場一丸となって悲願の日本一に突き進む。

100億円規模の投資10~15年で回収へ DeNAは昨年11月20日に本拠地・横浜スタジアム(ハマスタ)の運営会社「横浜スタジアム」に対する友好的TOB(株式公開買い付け)を始めることを発表した。買収総額は最大で約98億円。1月20日までに過半数以上の株式を取得するというものだ。

 11年12月に球界参入を果たし、翌12年から球場側と7年間の長期使用契約を締結した。これまでは入場料収入の25%を球場使用料として支払っていたが、長期契約と同時にこれを13%へ引き下げ。球場側に入っていた看板広告料やグッズ、飲食収入などの契約面でも歩み寄っていた。

 球団はハマスタの歴史も重要視し、大洋、横浜時代のファンへ向けたイベントも企画していく方針。今回の100億円規模の買収額は10~15年で回収できるとされている。

 ◆池田 純(いけだ・じゅん)1976年1月23日、神奈川・横浜市生まれ。39歳。鎌倉学園高、早大から住友商事、博報堂を経て07年1月にDeNA入社。09年4月に執行役員マーケティングコミュニケーション室長就任。横浜ベイスターズ買収に伴い、11年12月2日に球団の初代代表取締役社長に就任した。

 ◆横浜DeNAベイスターズ 2011年12月1日のプロ野球オーナー会議及び臨時実行委員会で、横浜を買収したディー・エヌ・エー(DeNA)社の新規参入を正式に承認し、誕生。初代監督には中畑清氏(62)が就任。昨季は前半戦を首位で折り返しながら、3年ぶりの最下位に。12球団で唯一、クライマックス・シリーズ(CS)進出の経験がない。今季からアレックス・ラミレス氏(41)が、前身の大洋、横浜時代を通じ、球団初の外国人監督となった。DeNAとしての通算成績は239勝319敗17分けで、13、14年の5位が最高順位。

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