東京五輪期間に神宮球場使用中止要請…プロアマ200試合どこで?

2016年4月5日5時0分  スポーツ報知

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会がプロ野球・ヤクルトスワローズの本拠地、明治神宮野球場の使用を五輪開催期間を含む20年5月から9月の大会終了までの約5か月間にわたり使用を中止するよう球場側へ打診したことが4日、複数の関係者への取材で分かった。5か月の中断期間では、東京六大学野球やヤクルト戦など200試合以上が行われる見通し。要請を受け入れた場合、すべての試合を代替会場で行うことが余儀なくされ、野球関係者は困惑している。

 複数の関係者によると、組織委側から神宮球場側に水面下で東京五輪・パラリンピックの開催に伴う球場の使用中止要請があったのは3月下旬。理由は「野球以外の用途で球場を使用したい」との説明だけだった。

 神宮球場では、ヤクルトを代表に東京六大学、東都大学野球などの試合が開催されている。1日にデーゲームでアマ、ナイターでプロの公式戦が開催されることも多く年間で470試合を実施。高校野球も夏に東・西東京都大会が行われるなど稼働率は9割以上という野球場として日本一の使用頻度を持つ。

 五輪は7月24日から8月9日。パラリンピックは8月25日から9月6日に行われる。組織委が要請しているように開催2か月前の5月からパラリンピックが閉会する9月6日まで中断となれば、今季に照らし合わせるとプロ、アマ含め約200試合を別会場で行う必要が出てくる。ヤクルトだけでなく東京六大学連盟、東都大学連盟、東京都高野連など複数の団体に大きな調整が必要になる。にも関わらず関係者によると、組織委側からの打診では、中止が必要な理由はおろか、中止に伴う代替会場、補償額など具体的な交渉は、まったくないという。4年後とはいえ、中身のない突然の打診に関係者は「代替案なき提案は受け入れがたい」と困惑している。

 明治神宮外苑のスポーツ施設の再開発は、昨年4月に東京都や組織委などで合意していた。覚書を地権者の明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事、三井不動産などと締結。それによると、〈1〉20年大会までに秩父宮ラグビー場を取り壊し、駐車場として整備する〈2〉神宮球場は五輪・パラリンピック期間中は現状のままとして使うという主に2点が軸となっていた。さらに五輪後は、秩父宮の跡地に300億円規模の「新神宮球場」、神宮球場の跡地に「新秩父宮」を25年までに建設する計画だった。

 ところが、都と神宮側の関係者によると、この案は、昨年4月の合意から交渉は遅々として進んでいなかったという。自民党幹部は「神宮外苑など、五輪の施設整備や補償問題などが難航しているのは事実」と話した。こうした状況での試合中止要請で再開発への合意も白紙になる恐れも出てきた。それだけに関係者の間からは再開発案について「実現の可能性は低いだろう」との声も上がっている。

 新国立競技場、エンブレムの白紙撤回など迷走を続ける東京五輪。今後、組織委側と神宮球場側での話し合いが本格化されるが、新たな問題を抱えたことだけは事実だ。

 ◆明治神宮野球場 1926年10月22日に完成。隣接した現在の神宮第二球場は当時、相撲場だった。2日後には、東京六大学野球で初めて使用(明大対法大)。34年にはベーブ・ルースを主将とする米国選抜チームも試合を行った。太平洋戦争の空襲で大火災になったこともある。終戦後の45年11月、プロ野球初開催。61年には東映フライヤーズが使用し、64年の東京五輪開催年に国鉄スワローズの本拠地。現在はヤクルトが本拠として使用し、花火大会なども行われている。

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