【日本ハム】武田勝引退 元番記者からの「おつかれさま」

2016年9月23日12時0分  スポーツ報知
  • 日本ハム・武田勝

 27歳。プロ入りの適齢期はとっくに過ぎていた。それでもシダックスのエース左腕だった武田勝は、プロの世界で勝負したかった。

 05年。立正大から入社して5年が経過していた。03年に就任した野村克也監督のもと、視野も広がった。夏が過ぎ、そんな技巧派に注目する球団が現れた。「日本ハム、武田勝獲り」は本紙の独自ダネ。大学・社会人ドラフト4巡目で入団。北の大地へと向かった。

 私は彼の投球術と穏やかな人柄に魅了されていた。その年の12月、勝くんが世田谷区役所に婚姻届を提出すると聞いた。「今から行っていい?」とずうずうしく両家の食事会へとお邪魔して、ツーショット写真を撮影し、結婚を独占スクープしたのもいい思い出だ。

 カラオケに行くと、美声を響かせてくれた。中でも山根康広のラブソング「Get Along Together」は極上。心がじ~んとして泣けてきた。

 生き馬の目を抜く厳しいプロの世界。剛速球とはほど遠い28歳のオールドルーキーは、制球力と変化球のキレを武器に生き残った。中継ぎから先発のチャンスをつかむと、ローテに食い込み、その座を離さなかった。13年には開幕投手。4年連続2ケタ勝利を挙げた。

 プロ11年目の今季はファーム暮らしが続いた。9月10日、鎌ケ谷の2軍施設に会いに行った。引退かどうか、仕事とはいえ、直撃するのは気が重かった。私のそんな緊張を察知したのだろう。勝くんは「今後のこと、聞きに来たんでしょ?」と笑い、こう言った。

 「球なんてめちゃくちゃ遅いのにさ。こんな俺なのに、こんなに長い間、やれたんだよ。でも全てが一瞬だったような気もするんだ」

 プロは夢の世界じゃなく、現実として仕事をする場。そんなクールな覚悟こそが、彼を成功に導いたのだろう。第2の野球人生も、追いかけていきたい。(野球デスク・加藤弘士)

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