【侍ジャパン】王さん、東京五輪まで小久保ジャパンで!「今までの侍とは全然違う」

2017年2月22日10時0分  スポーツ報知
  • 第1回WBCで日本を優勝に導いた王監督
  • 小久保監督へエールを送った王会長
  • 初代チャンピオンとなり喜ぶ選手たち

 第4回WBCで世界一奪回を目指す侍ジャパン。2006年の第1回WBC優勝監督であるソフトバンクの王貞治球団会長(76)がスポーツ報知の独占インタビューに応じ、23日からスタートする宮崎代表合宿を前に、まな弟子でもある小久保裕紀監督(45)にエールを送った。東京五輪の2020年まで指揮を執ることを熱望。06年の第1回大会で日本を頂点へと導いた経験をもとに、勝利の秘訣(ひけつ)を語ってもらった。(取材・構成=広瀬雄一郎)

 世界一奪回を目指す戦いの幕開けが近づいてきた。王会長は、教え子への期待を一言で表現した。

 「僕は、この大会に勝って2020年(東京五輪)も小久保がやればいいぐらいに思っています。(WBC後に)3年あるので、周りからはちょっと長すぎると言われるかも分からないけどね」

 その真意は何か。長期政権を狙え、という単純なことではない。説いたのは日の丸を背負う指揮官として、2013年から常設化された小久保ジャパンの集大成としての“覚悟”。「俺は侍ジャパンの監督だ」と、胸を張ってほしいということだ。

 「日の丸を背負うというのは厳しいこと。でもやっぱり、それぐらいの気持ちを持ってやってほしいということなんだよ」

 師弟関係という言葉が、王会長と小久保監督にはピッタリと当てはまる。ダイエー、ソフトバンクの現役時代のほとんどをともに過ごしてきた。そして、侍を率いるようになってからも、温かく厳しいまなざしを送ってきた。

 「(選手としては)ストイックというか、自分の道をとにかく一筋に突き詰めようというか、どちらかというと器用な方じゃないよね。でも、俺も野球選手として器用じゃなかったけど、不器用な人ほどコツコツと、それをクリアしていくことで自分のものにした。彼はジャイアンツにもいて、(球界に)名前をしっかり根付かせた。(監督としては)ちょっと硬いけどね(笑い)。でも硬いってことは真面目。真剣ってことにつながるわけだから」

 そのストイックさを監督としても見せてほしい。失敗は批判に直結することを知っているからこそ、あえて要求した。小久保監督には不安や遠慮を排除すべき、と考えている。

 「人のマネをしてもダメ。最終的に決断するのは監督なんだから。自分がよし、と思ったことをやればいいんですよ。結果はその後に出るもの。結果を考えたら何もできないからね。とにかく踏み出す。ピッチャーを交代するのもそうだし、いいと思ったらやりゃいいんですよ」

 06年、タクトを振った王会長も腹をくくっていた。レギュラー捕手に当時29歳の里崎(ロッテ)を抜てき。大会ベストナイン捕手に選出される働きを見せた【注1】。

 「僕なんかも、代表チームだからまんべんなく選手を使おうという考え方は持たなかったね。そのときの調子もある。谷繁(中日)と相川(横浜)がいて練習試合では使ったけども、勝つためにはやっぱり里崎ってなった。自分でそう思って。それを小久保監督がどう思うか」

 15年のプレミア12は準決勝で韓国に逆転負け【注2】。イニングをまたいだ則本(楽天)が9回に崩れたことで継投策を疑問視する声も上がったが、王会長は、その判断にこそ自信を持っていいと言う。

 「則本は8回が完璧だった。これはやってみなきゃ分からない。監督としては信じてやるしかない。負けるなんてことを考えてやるわけはないんだから。勝つためにこうする、勝つために一番いい方法をすればいいだけですよ」

 恩師が伝える帝王学は、単純かつ重いものだ。くしくも、小久保監督はWBCを迎えるに当たって「覚悟」という言葉を何度も口にしている。まな弟子は、すでにそれを理解しているだろう。

 「遠慮しているようじゃ選手も困るわけですよ。俺が一番勝ちたいんだ、って監督がやればいい。勝てば選手は喜ぶし、負ければ…。これはしようがないよ。なるべく単純に考えた方がいい。結局、元に戻るんだよ。考えたら(采配の選択肢は)何百通りも何千通りもあるわけだからさ。こんなもの考えても、やれるのは一通り。こうと思ったらやりゃいい。周りはうるさいけどね」

 初代王者の指揮官として、王会長は今の侍ジャパンをどう見ているか。メジャー組は外野手の青木1人だけとなったが、注目する点はそこではなかった。

 「選手も侍ジャパンの一員だという意識は常に持っていると思う。我々の時代は何が何だか分からない感じで、ただ野球をやっていた。今は侍ジャパンとして丸々3年やって、意識はすごい違うと思う。チームの結束力というかね、日の丸背負って、みんなの気持ちが一つになっているという点では、今までの侍とは全然違う」

 常設化された「侍ジャパン」は、オフシーズンの3月と11月に強化試合などを行ってきて、特に野手では坂本(巨人)、中田(日本ハム)ら常連組も多く顔をそろえる。しかし、その一方で投打の中核として位置付けた大谷(日本ハム)が故障離脱。指揮官としては厳しい環境だが、王会長はそれも意に介さない。

 「大谷のこともあったけども、現状でいいということで割り切ってやんなきゃダメ。あれがいれば、とかそんなこと言ったってしようがないんだから。現状で使える選手の中でベストな方法を取ろう。我々の第1回だって、来てくれた選手の中でやるしかなかった【注3】。(いないから)どうのこうのは全然なかった。その選手のベストのプレーを引き出すことしか考えなかった」

 大谷不在でも勝機はある。日本の野球は個人技ではなく、団体競技―。王会長が提唱し、06年から貫いた「スモールベースボール」が根底にあるからだ。

 「日本の野球(の長所)は、個々のプレーをどううまくつないでいくかという形にある。アメリカなら個人の力でできるかもしれないが、それとは違う。だからこそ意識は大事ですね。僕らがやったときも感じたけども、日の丸背負ったときの日本の選手というのは本当にガラッと変わる。侍ジャパンは日本の野球界を代表する選手たちだから」

 集まった選手の中で何ができるか。それこそ監督の真骨頂だ。小久保監督も「毎回来てくれる選手がいる。自分のやりたい野球を分かってくれている」という。もちろん、指揮官自らも成長してきた。

 「この3年間で研究や経験ができた。12球団の監督経験がないということは、WBCの監督になった段階ではいろんな話が出たろうけども、今は心配する必要はない」

 今大会、ライバル各国は例年以上にメジャーリーガーを多くそろえてきた。強敵に立ち向かうため、チームの精神的な支えとなるのは、やはりメジャーを舞台に活躍する青木だ。

 「(06年の第1回では)僕は決めてなかったが、イチローがそれをやってくれた。今回はそれを誰がやれるか。青木がアメリカのことを知っている。『みんなが思っているより大したことないよ』とか、そういう一言で選手たちはすごい気が楽になるよね」

 しかし、11年前と比べ、MLBとNPBの壁が選手目線でも低くなったことも感じずにはいられない。

 「どうしても敵のことを過大評価してしまうというのはある。勝負するのに気持ちで負けちゃうからね。でも、我々のプロ野球に入った頃に比べたら意識が違う。今の子には外国人選手だからという意識は全然ない。昔はベーブ・ルースなんか傘差してやってたけど【注4】、今は真剣勝負」

 日本野球は、間違いなく世界のトップクラスだと信じている。

 「あとは選手の自覚。その自覚を信じる。(メンバーは)日本の野球界のトップクラスだから。彼らがしっかりした意識を持って臨むことは間違いない。結果がどう出るかは分からないが、横綱相撲をやってというのではなくて、(点を)取れるときは取る、防ぐときは絶対に防ぐ。短期決戦だからさ。日本は予選で負けるわけにはいかない。アメリカ(準決勝)に行けば、こっちのもんだ、ってね」

 【注1】05年のロッテ日本一に貢献した里崎は、翌年の第1回WBC代表に選出。7試合で先発し打率4割9厘、1本塁打をマークした。決勝のキューバ戦もフルイニング出場し、リード面でもチームの信頼を獲得した。

 【注2】15年のプレミア12準決勝・韓国戦(東京D)で則本は3点リードの8回から救援し、8回を3者凡退に抑えた。続投した9回に3連打と死球で1死も奪えず降板。後続も打ち込まれて逆転を許し、敗戦投手に。

 【注3】メジャー組から選出されたのは大塚(パドレス)とイチロー(マリナーズ)の2人。当時、メジャー最前線で活躍していた松井(ヤンキース)や城島(マリナーズ)らを含めたベストメンバーでの選出はできなかった。

 【注4】1934年の日米野球でベーブ・ルース、3冠王ルー・ゲーリッグ、ジミー・フォックスらが来日。11月26日の小倉での試合は朝から激しい雨だったが、ルースが番傘を差して右翼を守る写真が残されている。その悪天候の中で本塁打を放ち、日本のファンを沸かせた。

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