【検証・小久保ジャパン】球団とNPBと首脳陣チグハグ…大谷欠場防げず

2017年3月24日10時30分  スポーツ報知
  • キャンプ地の米国アリゾナで会見を開き、質問に答える日本ハム・大谷

 ここにあいつがいれば…。接戦で惜しくも落とした準決勝。紙一重の戦いは、あと1本が出ればという展開だった。しかし、そこに大会の目玉となるはずの二刀流・大谷はいなかった。

 2月1日。小久保監督に「大谷投手は辞退」の一報が届いた。日本ハムのキャンプ地、アリゾナでの発表だった。WBCを前にした12球団キャンプ視察の初日で、宮崎・日南の広島キャンプへ向かう車中だった。すでに栗山監督を通して1次R開幕戦の先発を通達した直後。小久保監督にしてみれば不意打ちだった。

 事前のやりとりから行き違いが多かった。1月29日、日本ハム側がNPB側に大谷の右足首痛の状態を報告。「(投手として)欠場」という言葉も交わされたが、NPB側は「(話を)もみます」と返答した。全ては2月23日から始まる合宿で判断する認識でいたが、その2日後に日本ハム側が会見を開いて発表。球団は影響を最小限とするため、キャンプ開始前に公にしたかったのだが、結果的にNPBの返答より先になった。

 小久保監督があずかり知らぬ状況での発表。関係者によると、NPB側が撤回を求める一幕もあったというが、球団とNPBと首脳陣をつなぐ窓口が明確でなかったことで、伝言ゲームのように誤って伝わった。これがちぐはぐの原因だ。

 日本ハムは当初、打者としての可能性を残し、指揮官に委ねた。しかし、次第に打者の出場も危惧する声も出始めた。最悪は手術も、とする診断書がNPBに提出されたことで、指揮官も断念せざるを得なかった。そして2月4日、選手登録から外すことを発表。二刀流の欠場が決まった。

 日本ハムとNPBとのボタンの掛け違いは、メンバー28人全員を発表するはずの1月24日にもあった。発表2日前に日本ハムは、出場内定していた中島がけがで出場が難しいことを内々に伝えた。しかし、NPB側は「辞退者が出た」とアナウンス。日本ハムは発表前の段階にもかかわらず「辞退」とされた格好となり、スッキリしないものが互いに残った。

 大谷は、日本がキューバと2度目の対戦となった14日、オープン戦1号。今は野手として開幕戦出場も視野に入れている。あのとき綿密なコミュニケーションが取れていれば、あるいは…と思わせる。

 小久保監督は、選手選考の難しさをこう語る。「12球団に協力態勢がないとできない。1球団の都合が出てきてしまうと、残りの11球団には示しがつかない」。所属球団の意向は今なお強く、日本代表監督に決定権はない。中島に代わって急きょ広島・田中を招集した際は、小久保監督が緒方監督に頭を下げた。

 歯がゆい場面は、2月25日のソフトバンク戦(サンマリン宮崎)でも起こった。相手スタメンに、今宮と柳田が並んだ。侍ジャパン入りを、けがの影響で見送った2人だ。もちろん万全ではないだろうが、けがのリスクを負えない代表監督のつらさが垣間見える。

 昨年8月に渡米し、メジャーリーガーを直接訪問しても、結果は青木1人の参加だけ。期待した投手はゼロだった。MLBの壁は、4回目を数えても今なお高い。16年に設置された侍ジャパン強化委員会は、まだ機能的な活動はない。最強メンバー編成がいかに難しいか、今回はっきりした。「オリンピックもそうでしょう。志や使命感に燃えても、バックアップがない限りは難しい」と小久保監督。東京五輪を3年後に控え、代表監督の権限強化は喫緊の課題だ。(WBC取材班)

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