【ソフトバンク】“サファテの乱”で「みんなが自分たちの仕事をするようになった」独占手記

2017年9月17日10時0分  スポーツ報知
  • ピカチュウの格好でビールかけに興じるサファテ(手前は福田)

 ◆西武3―7ソフトバンク(16日・メットライフドーム)

 ソフトバンクのサファテが胴上げ投手となり、工藤監督に続いて、ナインの手で5度宙を舞った。シーズン最多セーブのプロ野球記録を更新する51セーブを記録したMVP最有力の守護神が、スポーツ報知に独占手記を寄せた。

 今までのキャリアで、一番タフなシーズンだった。米国にいた妻ジェイダの体調が優れず、家族と離れ離れ。3、4度あったろうか。野球をやめて、米国へ帰ろうと本気で思ったのは。

 ジェイダが眠れないから、リラックスさせるために電話が手放せなかった。球場に来てもフェイスタイム(テレビ電話)をしたり、登板直前まで心配しっぱなし。試合が終わって1、2時間たてば、今度は子どもたちが起きる時間。その時間まで起きて子どもたちと話すのだけど、日本は夜中だから。家族は何より大切な存在。ホークスのためにもすべての力を注いでいた。睡眠を犠牲にしたし、電話が鳴るのが嫌な時もあった。着信音は何度も変えた。電話をぶっ壊してやろうかと思ったくらい、精神的にも追い込まれた。

 こうした状況だったから逆に、野球に入れ込みすぎず考えすぎず取り組むことができたのかもしれない。

 去年は自分1人で7敗もした。自分が投げた7試合でチームが負けた。それがすべて。優勝できなかったのは誰でもなく、自分の責任だった。その数字をどうにかしないといけないと思ってきた。防御率1・88は悪かった(今季は1・14)。62回1/3で11四球、73三振と満足できる数字ではない。ただ、改善の余地はあった。2年前は膝が痛かったし、去年で言えば股関節。ケガさえなければ…。今年は幸い、大きなものはなく乗り切れた。

 ああいう形で11・5ゲーム差を逆転され、優勝を逃してしまった。チームとして立て直した。スタートは良くなかったけど、みんなが自分たちの仕事をやれるようになった。打つべき人が打った。リリーフに限って言えば、僕がホークスにいる4年間で一番いい仕事をしたんじゃないかな。

 8回を投げてくれる(岩崎)翔は素晴らしいし、モイネロも途中から来てすごい活躍をした。森はまだ復活とまではいかないかな(笑い)。先発は東浜が完全に開花した。石川という新しい力も加わった。確かイーグルスと競っていた8月だと思う。何人かの選手には言ったんだ。「このままの戦い方をしていれば、最後はウチが首位にいる」と。その通りになった。

 優勝へのターニングポイントのひとつは、8月1日のオリックス戦だろう。同点の12回にロメロ選手にサヨナラ本塁打を打たれた。試合後、覚悟を持って言った【注】。

 【注】8月1日のオリックス戦(京セラD)は先発の石川が5回途中4失点で降板。7番手のサファテが同点の延長12回、ロメロにサヨナラ弾を浴びた。試合後に「先発投手がこれだけ続けて早いイニングで降りると、そのツケは僕たちリリーフに回ってくる。先発投手にはもっと感じ取ってほしい」と発言。

 先発が早い回で降りることが多く、勝ちパターンの投手に相当な負担がきていた。連投、イニングまたぎも。翔や森、嘉弥真。チームとしてここから勝負という時に、彼らがケガをしてはいけない。自分たちを守るという意味もあった。言うべきではなかったかもしれないけど、後悔はまったくしていない。

 同点のケースで僕が登板するかどうか。そこの部分で、少しの行き違いもあった。翌日、大阪の宿舎で工藤監督に呼ばれた。「投手みんなのことを考えてくれてありがとう」って。打たれてフラストレーションがたまっていた僕の心情も理解して、温かい言葉をくださった。握手もした。そこから大きく前へ進めた。

 セーブの数は強いチームでやれている証しだ。岩瀬さん、藤川さんという偉大な投手が持っていた46セーブの記録を塗り替えることができて、改めて思った。現役が終わって何年たっても、自分の名前が思い返されるような存在でいたい。記憶に残る選手でいたいと。

 サファテという投手を客観的に見ると、速い真っすぐがあり、2つ以上の変化球でストライクが取れる。理想のクローザーだろう。僕が打者なら、とりあえず直球を待って、初球からガツガツはいかない。何球か見ていく。初球のボール球を振ってくれて、2ボールが2ストライクになっていることって結構あるんだ。ホームランは狙わず、当てにいく。ヒットでいい。追い込まれたら直球は消し、変化球を待つように臨むかな。攻略は簡単ではないと思うけどね(笑い)。

 日本の文化、日本野球、福岡の街。すべてが大好きだ。あと1年、ホークスと契約が残っている。順調にいけば、再来年から外国人枠を外れる。そこから1、2年やってみたい気持ちはあるけど、まず来年。いつケガをして、野球ができなくなるか分からない。40歳までプレーするつもりはない。39歳で迎える2020年が最後の年になるだろう。

 クローザーという仕事に誇りを持っている。僕の性格的に、先発は向いていない。1週間も登板を待ちたくないから。試合中に3つアウトを取って、ベンチに戻って、またマウンドへ行って…。これを繰り返したくもない(笑い)。引退試合で最後に一度くらい、先発できればいいかな。そのときは「もういいぞ」と言われるまで、ずっと投げ続けようかな(笑い)。(ソフトバンク投手)

 ◆デニス・サファテ(Dennis Scott Sarfate)1981年4月9日、米ニューヨーク生まれ。36歳。アリゾナ州立大からブルワーズ、アストロズなどを経て、11、12年広島、13年西武、14年からソフトバンク。15、16年に最多セーブ。今年7月に外国人投手初の通算200セーブ達成。NPB通算418試合、26勝20敗226セーブ74ホールド、防御率1.56。193センチ、102キロ。右投右打。年俸5億円。家族はジェイダ夫人と3女。

 ◆胴上げ投手で王会長にボール

 9回に登板したサファテは、外崎に中前2点打を許し、18試合ぶりに失点。「今までで一番悔しくない2失点」と言ってのけた。ウィニングボールを王会長に手渡し「このチームの基礎は王会長がつくられた」と敬意を表した。セーブ機会がない状況で登板し、パ新記録の18試合連続セーブはならず。休養させるため、17日に出場選手登録を抹消される。

  • リーグ優勝を決め、ウイニングボールを王貞治球団会長へ手渡すサファテ

    リーグ優勝を決め、ウイニングボールを王貞治球団会長へ手渡すサファテ

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