【ヤクルト】「ドラフトでとった選手は球団の宝」伊東昭光編成部長が語る育成の信念

スポーツ報知
ヤクルト・伊東昭光編成部長

 最下位からの巻き返しを期すヤクルトで、小川SDの監督復帰に伴い、編成部門のトップを担うのは伊東昭光編成部長(54)だ。今季から新たにアマ野球や外国人もチェック。88年に最多勝を獲得するなど、通算87勝右腕は「ドラフトでとった選手は球団の宝」と不変の育成方針について語った。

 昨季は球団ワーストの96敗。編成として、この成績をどう受け止めているのか。

 「主力にけが人が多かった。(故障者が)出てしまったのはしようがないんだけど、復帰まで長くかかってしまい、そこをカバーする戦力が薄かったのでああいう成績になってしまった。主力に代わる戦力を整えられず、チームに対して申し訳なかったです」

 オフに小川監督が4シーズンぶりに復帰し、宮本ヘッドコーチが就任した。昨秋から猛練習を課すなど、チームは若手の育成にかじを切り、生まれ変わりつつある。補強でも実績ある選手に頼らず、若い選手を粘り強く育てる球団の意思は強い。

 「ドラフトで有望な選手をとって育てるのは前からの球団の方針ですが、数年前まではチームが優勝するために即戦力に重点がいきすぎていた。それで、2、3年前から有望な高校生を1人、2人でなく、3人、4人とって育てて、数年後にチームの主力としてやってもらおうと。広岡や渡辺、ピッチャーで高橋、ジュリアスもそうだし、去年で言ったら寺島、梅野、古賀。今年は2人(村上、金久保)だけれども、高校生をいかにレギュラーにするか。その中でその年の目玉選手が社会人、大学生にいたらそれも踏まえる。バランスよく、うちは高校生に力を入れていく」

 2015年に14年ぶりに優勝。中心はやはり高卒から育った選手だった。

 「そうだね。中村、畠山、山田、川端、雄平。そういうメンバーが主力でね、そこがうまく真中監督の時に機能した。これから来年、再来年で育成が非常に大切な部分になってくると思う。ただ、トレードが悪いとは考えていないので、お互いの球団の意思が合えばどんどんやっていきたいし、新しい血を入れるのもチームの強化につながる」

 昨季が1年目だった寺島、梅野は1軍デビューを果たし、古賀もファームで62試合に出場。昨秋のドラフトで1位指名した村上は早くも実戦デビューを果たした。2軍はどのような位置づけなのか。

 「うちは3軍制も敷いてません。育成選手も4人でそこまで多くないですし、故障者が出てしまったら2軍もかつかつになる状況ですけど、なるべく試合の経験を積ませたいという思いでぎりぎりの人数でやっている。高校から指名した選手もまずはどんどんプロの試合に出すという方針なので、2軍も勝たなきゃいけないとは思うんですけど、いかに個人の経験、数字を出させるかを重視して、野手に関してはまずはどんな選手でも試合に出てもらう方針です。村上もどんどん出てもらう」

 伝統的に若手が主力に育ってきたヤクルト。チームの転換期にあらためて、今後の育成についての信念を聞いた。

 「うちはFAでも何人かとってますけど、ドラフトでとった選手を何とか一人前に育てるのが昔からの流れ。お金がたくさんある球団でもありませんし、ドラフトでとった選手は球団の宝として育てていかないといけない。それはこれからも変わりません」

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