【阪神】金本監督、涙でV約束「星野さん、ウィニングボールを墓前に捧げます」

スポーツ報知
献花する(左から)阪神・片岡ヘッドコーチ、金本監督、矢野ファーム監督 (カメラ・豊田 秀一)

 1月4日に膵臓(すいぞう)がんで亡くなった楽天・星野仙一副会長(享年70)の「お別れの会」(東京では19日に開催)が28日、大阪・北区のハービスホールで開かれた。一般参列者も含め2780人が献花。阪神の1、2軍の全選手は練習前にユニホーム姿で出席し、2003年リーグ優勝の闘将を弔った。金本知憲監督(49)は号泣しながらの弔辞で、墓前に優勝のウィニングボールを供えることを約束した。

 思いが込み上げた。ユニホーム姿で遺影の前に立った金本監督は、冒頭の13秒間、あふれ出す感情を抑えるのに必死で声が出なかった。「星野さん、まず、本当にタイガースに呼んでいただいてありがとうございました」。何とか言葉を絞り出したが、再び10秒間、声を詰まらせた。「いまだに…、こうして写真を見るだけで、涙が止まらない日が続きます」。声は震え、涙があふれ出した。

 監督を務めた中日、阪神、楽天のユニホーム姿の3枚の遺影は、柔和な表情を浮かべていた。祭壇には座右の銘「夢」の直筆の一文字。「実は何も考えてなくて、紙もなくて、思ったことを星野さんに伝えようとしましたので、途中で詰まったりしましたけど」。金本監督は読み上げるための紙も用意せず、ぶっつけ本番で6分58秒の間、「関西の優しいお父さん」と表現する恩師に語りかけた。

 2002年オフに広島からFA宣言した際、「どれだけお断りしても、全く聞く耳持たずで。『お前はオレとやるようになっているんだから』と何回も言われました」と、強引に口説き落とされてからの絆。14年オフ、阪神監督の就任要請に消極的だった時も「とにかくやれ。チャレンジしろ。オレができたんだからお前もできる」と、強く背中を押してくれた。

 胴上げ姿を見せる夢はかなわなかったが、13年ぶりのリーグVこそ最大の恩返し。「今年、選手たちとともに頑張って、必ず優勝しますので、天国から『よくやったな』という言葉をかけてください。そしてウィニングボールを墓前に供えに行きますので、待っていてください」。頬に熱いものを流しながら約束した。

 開幕戦の相手の巨人(30日、東京D)は、星野氏が「燃える男」として中日での現役時代から挑み続けた宿敵だ。「まず戦う姿勢ですね。絶対に負けないという気持ち。星野さんがマウンドで投げている姿のように。『向かっていってナンボ』というぐらいの気持ちを持って選手たちはやってほしい」。星野魂を胸に刻んだ闘将の後継者は、涙を拭いて、決戦の地・東京に向かった。(島尾 浩一郎)

 ▽主な参列者【野球界】吉田義男、安藤統男、田淵幸一、福本豊、山田久志、川藤幸三、真弓明信、掛布雅之、大野豊、宇野勝、広沢克実、金村義明、下柳剛、藪恵壹、立浪和義、今中慎二、井上一樹、赤星憲広、新井貴浩、井川慶【その他】井戸敏三兵庫県知事、山中健芦屋市長、落語家・桂きん枝(順不同、敬称略)

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