【中日】松坂、魂の123球 脚がつっても志願の続投 7回2死満塁K斬り

スポーツ報知
7回2死満塁、代打・上本(右)を空振り三振に仕留めマウンドでガッツポーズする松坂(捕手・大野奨=カメラ・石田 順平)

◆中日1―2阪神(19日・ナゴヤドーム)

 松坂の123球の熱投は報われなかった。中日移籍後2度目の先発は、走者を出しながらも粘って7回2失点。予定の約100球を超す志願の続投も実らずに2敗目を喫したが、復活を印象づけた。

 123球目に魂を込めた。1点ビハインド。これ以上の失点は許されない7回2死満塁。松坂はカウント2―2から上本の外角低めにカットボールを投げ込んだ。バットが空を切るのを見届けると小さく拳を握り、グラブをポンと叩いた。それでも「自分の失策で2点目を許してしまった。悔いが残ります」。チームは5連敗。投ゴロ失策から始まった4回の失点を悔やみ、厳しい表情を緩めることはなかった。

 11年ぶりの熱投劇だった。120球を超えるのは、昨季まで3年間在籍したソフトバンク時代はオープン戦も含めてなく、Rソックス時代に126球を投げた07年6月22日のパドレス戦(6回1失点)まで遡る。7回は首脳陣に「行きます」と志願の続投。117球目に大山を中飛に打ち取った直後に左足をひねり、朝倉投手コーチがダッグアウトを飛び出したが、「投げることしか考えなかった」と年下のコーチを制してマウンドを守った。

 7回2失点。移籍後初登板だった5日の巨人戦は5回96球で降板したが、公式戦ではメッツ時代の14年7月7日のブレーブス戦(7回無失点)以来となる7イニング。「バテたという感覚はなかった。もう一段階、投げられる状態が上がってきたのかもしれない」と強い手応えは得た。

 グラブには竜の刺しゅうが施されている。岐阜県の「ますかスポーツ」が展開する「RYU」ブランドの逸品だ。西武時代から竜のシルエットが好きでグラブに縫い込んでいた。中日の一員としての気持ちの表れか問われると「あれはああいうメーカーですよ」と笑ったが、ピンチを迎えると激励の拍手が湧き起こったナゴヤDで、まるで竜のように躍動した。

 20日に出場選手登録を抹消されるが、調整が順調なら30日のDeNA戦(ナゴヤD)で3度目の先発に挑む。「試合が終わったあとに(森監督に)言われました。そこに合わせて作るだけですね」。惜しくも2敗目は喫したが、怪物復活への足音は徐々に大きくなっている。(田中 昌宏)

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