【ソフトバンク】柳田「マジ奇跡」史上65人70度目のサイクル安打

スポーツ報知
8回2死一塁、右中間に三塁打を放ちサイクルヒットを達成した柳田

◆日本ハム0―10ソフトバンク(21日・札幌ドーム)

 ソフトバンクの柳田が、日本ハム戦でプロ野球史上70度目(65人)、パ・リーグ33度目(32人)のサイクル安打を達成した。プロ野球では2016年7月の福留孝介(阪神)以来、パ・リーグでは07年9月のズレータ(ロッテ)以来11年ぶりだ。14年9月以来の1試合5安打で4打点を記録し、チームの連敗も2で止めて、首位・西武との3・5ゲーム差をキープした。

 最大の難関であるはずの三塁打をいとも簡単にクリアした。8回2死一塁。柳田は新垣のフォークを力いっぱい引っ張った。右中間で打球が弾むと、快足をとばして三塁へ到達。微妙なタイミングだったが、中継に入った中島からの返球が自身の背中付近を直撃した。「マジで奇跡。こんなことあるんだな。いい思い出ができました」。表情こそあまり変わらなかったが、充実感でいっぱいだった。

 今季チーム最多となる17安打の口火を切った。初回2死、有原から幸先良く右中間に4号ソロを放り込んだ。4回は中前安打。5回にフェンス直撃の中越え適時二塁打で“王手”をかけると、6回の中前適時打を挟み、大記録を達成した。4打点に加え自身2度目の5安打。打率は3割3分9厘まで上昇した。

 ベンチでは、味方から快挙をけしかけられていた。工藤監督は「みんな、三塁打、三塁打って言っていた」と笑ってその内幕を明かした。ただ、柳田自身は冷静だった。サイクルは頭にあったが「自分のスイングのことを考えていた」と打席に集中。「たまたまです」と謙遜しながら振り返った。

 チーム内には2人の“先輩”がいた。1人目は、1990年7月7日の日本ハム戦(浜松)でサイクル安打を達成した藤本打撃コーチ。しばしば「俺はサイクル安打してるんだ」とハッパをかけてきた。新人時代から指導してきたまな弟子の晴れ姿に、「俺は6の4であいつは5の5。レベルが違うわ」と最大級の賛辞でたたえた。

 もう一人は村松外野守備走塁コーチだ。ホークスの選手によるサイクル安打は、同コーチが記録した2003年7月1日の近鉄戦(大阪D)以来だった。三塁コーチャーだけに「達成して一番近くにいた。俺以来ちゃうの?」と笑顔で祝福した。

 札幌ドームは昨年、31打数14安打で打率4割5分2厘、4本塁打、10打点と大のお得意様だった。理由を問われ「気温ですかね。わかんないです」と“ギータ節”全開で球場を爆笑の渦に巻き込んだ。首位・西武とは3・5差だが、まだ序盤。また一つ球史に名前を刻んだ背番号9が、工藤ホークスを上昇気流に乗せる。(嶋田 直人)

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