【ロッテ】涌井、1―0で今季初完封 グラウンド内外で「エースの仕事」

スポーツ報知
2勝目をあげた涌井

◆楽天0―1ロッテ(26日・楽天生命パーク)

 最後も涌井らしくクールに締めた。9回2死。ウィーラーをスライダーで空振り三振に仕留めると表情を変えることなく淡々とナインをハイタッチを交わした。「最後の力を振り絞って投げた。一番いい終わり方ができた」。8回2死から回をまたいでの4連続Kでシャットアウト劇を彩った。

 最大のピンチをクレバーな投球で乗り切った。1―0の5回。先頭の今江に右越え三塁打を浴びたが、動じなかった。1死で嶋を迎え、カウント1―1からの3球目に三塁走者・今江がスタートしたことを察知。低めに外したことで嶋が空振りし、スクイズを封じ、「嶋さんの構えも早かったし、カウントを考えてもやってくるイメージがあった。思い通りに外せた」とうなずいた。

 前回登板の19日のオリックス戦(ZOZO)では8回途中3失点。フォームにばらつきが見られ、制球に苦しんだことの反省からセットポジションで投球することを決めた狙いが奏功した。9回にはこの日最速の148キロを記録するなど、スタミナ面でも余裕があった。今季自己最多129球の熱投で2勝目。通算11度目の完封勝利は今季のパ・リーグ最速だ。1―0のスコアは西武時代の2009年8月11日のロッテ戦(千葉マリン)以来2度目で「1―0だったのでなおさらよかったです」と喜んだ。

 井口監督も「よく頑張りましたね。なかなか点が取れない時にこうやって抑えてくれてチームとしても上を向いてやっていける」と大黒柱に賛辞を送った。

 24日の夜には打撃投手を誘って「涌井会」を開催。「ラム肉のしゃぶしゃぶ」で日頃の労をねぎらった。ある裏方は「ワク(涌井)は本当に裏方思い。普通は投手が打撃投手を誘うことなんかないですよ。『野手にいっぱい打ってもらうためにも、良い球を投げてください』っていう気持ちがあったんじゃないかな」と明かす。練習に付き添う時間の長い野手が打撃投手を食事に誘う話はよく聞くが、投手としては異例。心優しい男ならではの気遣いがあった。

 グラウンドの内外でエースの働きを見せた涌井。ゴールデンウィークを前に最高の勝ち方でチームを上昇気流に乗せた。(長井 毅)

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