エンゼルス大谷、右手一本バット折り同点打…初盗塁も

スポーツ報知

◆ブルージェイズ4―5エンゼルス(23日・トロント)

 エンゼルスの大谷翔平投手(23)が23日(日本時間24日)、またもチームを救った。敵地・ブルージェイズ戦で「5番・DH」で2試合連続先発出場。2点差の9回1死満塁で12打席ぶり安打となる同点2点打を放った。今季、メジャー全体で得点圏20打数以上の打者で最高の打率4割7分6厘を記録すると、さらに一、三塁からメジャー初盗塁となる二盗も決めて、逆転勝ちに貢献した。

 勝負に勝った。大谷は中前で弾む打球に、ガッツポーズを作って一塁ベースへ向かった。2点を追う9回。3者連続四球で作った1死満塁の好機で、起死回生の同点2点打だ。

 「満塁で回ってくるところで、すごく試されている感じはあった。再三のチャンスを僕がつぶしたので。四球を3つ取ってくれて、何とか打ちたいなと。いい結果になって良かった」

 5回2死一、二塁で左飛に倒れ、7回1死二塁では見逃し三振。土壇場でクリーンアップの仕事を果たし、「どうだ」と言わんばかりに、自軍ベンチへ右拳を突き出した。

 マウンド上のクリッパードとは前夜の9回2死で対戦。チェンジアップで一飛に倒れ、最後の打者となっていた。初球の低めチェンジアップを冷静に見逃し、次は「必ず甘い球が来る」と読んだ。それでも、2球目は外角へボールとなるチェンジアップ。想定外だったが、最後は右腕一本。バットを折りながらも打った。

 「真っすぐ系が来ると思っていた。ヤバイかなと思ったけど、何とかいい所に飛んでくれた。あの場面とか、ああいう安打は技術どうこうではなくて、『食らいついた者勝ち』というか、そういう感じです」

 続く一、三塁では二盗を悠々と決めてメジャー初盗塁。「つなぎさえすれば、大量得点になる」と押せ押せムードに乗って、シモンズの勝ち越し2点打を呼び込んだ。逆転勝利の主役となった。

 シーズン1度しかないカナダ遠征。二刀流で試合前練習は誰よりも忙しいが、練習後は2日連続で右翼ファウルゾーン付近で即席のサイン会を実施した。前日には究極の“ファンサービス”も。ファンがキャッチミスして外野に転々とした球を、わざわざキャッチしやすい“緩い球”で届けた。「技術というより雰囲気」と振り返った活躍の裏には、運をも味方につける行動がある。

 得点圏では21打数10安打の打率4割7分6厘。今季得点圏で20打数以上の打者ではメジャートップだ。ソーシア監督は「(同点打は)言うまでもなく大きな一本。(盗塁は)内野が前進していてチャンスだった。本人の判断で走ったのだと思う。いいプレーだった」と野球勘をたたえた。圧倒的な能力だけでは計り知れないところも、大谷の快進撃を支えている。(小谷 真弥)

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