【中日】藤嶋、緊急初先発プロ1勝 松坂の姿勢見習い「いけるところまでいこう」

スポーツ報知
プロ初勝利となった藤嶋は、ドアラと一緒にポーズを決めた(カメラ・清水 武)

◆日本生命セ・パ交流戦 西武3―11中日(17日・メットライフドーム)

 中日・松坂が、先発を予告されていた西武戦を背中のけいれんで直前に回避。代役としてプロ初先発した2年目右腕の藤嶋が走者を出しても粘り、6回9安打2失点でプロ初勝利を挙げた。先発変更を了承したとはいえ、西武ナインからは「(試合前は)松坂さんの映像しか見ていなかった」と嘆き節も…。

 突然できた松坂の穴を、20歳の藤嶋が埋めた。先発を告げられたのは試合開始15分前。「トイレに行こうとしたら朝倉コーチに『オマエでいく』と言われて。『マジか』という気持ちが大きかったんですが、すぐに腹を割りました」。“腹をくくる”と言い間違えたのはご愛嬌(あいきょう)。初回、いきなり無死一、二塁のピンチも、3番から3者連続三振を奪って波に乗った。

 松坂が背中のけいれんを訴え、先発投手変更のアナウンスが流れたのはプレーボール7分前。古巣のマウンドで12年ぶり凱旋登板を目当てに駆けつけた超満員の観衆から悲鳴が起こった。白羽の矢が立ったのは、10日のソフトバンク戦(ナゴヤD)以来、登板機会がなかった藤嶋。気迫の投球で東邦高1年から甲子園を沸かせた強心臓に、すべては託された。

 毎回の9安打を浴びながら6回2失点でプロ初勝利。要所を締めた粘りは、松坂を見習った。「球数が多くなっても長い回を投げようとする松坂さんの姿勢を、僕なりに感じていた。先発を任された以上、いけるところまでいこうと思った」。この日は父の日。松坂が横浜高で甲子園春夏連覇した98年に生まれた藤嶋家の次男は「最初に野球を教えてくれたのはお父さん」と父・廉英(やすひで)さんにウィニングボールを贈るという。

 14年5月7日の阪神戦(ナゴヤD)では、腰痛で先発回避した川上に代わり、急きょプロ初先発した2年目で19歳(当時)の浜田達がプロ初完封。それ以来のシンデレラボーイ出現。森監督は「今後は松坂次第というのもある」とかわしたが、松坂の離脱が長引く場合には、藤嶋が一気に先発ローテの座をつかむ可能性もある。(田中 昌宏)

 ◆藤嶋健人アラカルト

 ▼生まれとサイズ 1998年5月8日、愛知・豊橋市生まれ。20歳。177センチ、85キロ。右投右打。家族は両親と兄。

 ▼球歴 中学時代は東三河ボーイズで投手。東邦高1年夏、3年春夏で甲子園出場。かつて1年生で夏の準優勝投手になったOBの坂本佳一にちなみ、「バンビ2世」と呼ばれた。

 ▼打も非凡 高校通算49本塁打で打者としても高評価された。3年夏の1回戦、北陸戦で1本塁打、1三塁打、2二塁打の“サイクル超え”。6月7日のロッテ戦(ナゴヤD)ではプロ2打席目で初安打を放った。

 ▼歯列矯正 2016年のドラフトで中日に5位指名された直後、上下の歯を8本抜く歯列矯正。最初は満足に言葉も話せなかったが「おかげで小顔のイケメンになりました」。

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