【中日】松坂、カムバック賞 セで初12年ぶりタイトル決定的 NPB関係者「間違いない」 

スポーツ報知
中日に移籍し、ここまで6勝を挙げている松坂。カムバック賞受賞が決定的となった

 中日・松坂大輔投手(38)が今年度のカムバック賞受賞が決定的になったことが20日、分かった。日本球界復帰後、昨季までソフトバンク時代の3年間は右肩痛などの影響で1勝もできなかったが、今季はここまで6勝を挙げたことを日本野球機構(NPB)も高評価。11月上旬のプロ野球実行委員会で審議され、正式決定する見通しだ。

 平成の怪物が、平成最後のシーズンオフに“セ・リーグ初タイトル”を獲得することになりそうだ。NPB関係者は「カムバック賞に明確な基準はないが、成績が伴わなかった期間の長さに加えて、過去の実績と年齢も加味される性質のもの。松坂はそれら全てを完璧にクリアしている。今後はNPBで意見を聞いて、プロ野球実行委員会で話し合うことになるが、まず間違いなく授与されるだろう」と明かした。

 松坂は西武入団後、プロ1年目の1999年から3年連続最多勝を獲得した。他にタイトルは最優秀防御率2度(2003、04年)、最多奪三振4度(00、01、03、05年)。新人王(99年)、沢村賞(01年)など表彰もされてきたが、メジャーを経て15~17年に在籍したソフトバンク時代は賞とは無縁。カムバック賞で連盟表彰されれば、西武時代の06年のゴールデン・グラブ賞以来12年ぶりとなる。

 中日でカムバック賞なら昨年の岩瀬に続き2年連続8人目の快挙で、ヤクルトに並んで球団別最多タイ。その頻出ぶりに、中日の球団首脳は「昔から年寄りを大事にする球団だからね」と、ベテランや“外様選手”に分け隔てなく再チャレンジの機会を与えてきた、伝統的な「再生工場体質」が一因だと強調した。

 昨オフ、ソフトバンクの育成契約を断り、中日入りを選択した。依然、右肩に不安を抱えながら移籍1年目に臨み、4月30日のDeNA戦(ナゴヤD)で日本球界12年ぶり勝利。6月に背中の捻挫で約2か月間戦列を離れたが、ここまで6勝4敗、防御率3・74。13勝のガルシアに次ぐチーム2位の白星を挙げる復活劇を見せている。

 次回先発は28日の阪神戦(ナゴヤD)が有力。今季3勝1敗、防御率1・96と好相性の相手だ。常々「いつも通り準備をするだけ」と淡々と調整する背番号99。勝ち星を積み上げて、さらに文句なしのカムバックイヤーを締めくくる。

 ◆カムバック賞 NPBによるタイトルの一つで、けがや病気での長期間の離脱、あるいは不振を乗り越えて、再び実績を残した選手に贈られる。1974年に制定。明確な選考基準はなく、該当者なしのケースも多い。昨年までにセ・リーグ34人、パ・リーグ6人が受賞している。

 ◆主な移籍1年目のカムバック賞

 ▽77年・浅野啓司(ヤクルト→巨人) 腰痛の影響で75、76年は計4勝止まり。トレード先で9勝を挙げてリーグ優勝に貢献。

 ▽87年・新浦寿夫(韓国サムスン→大洋) 国内復帰初年度で巨人時代の79年(15勝)以来の2ケタ勝利となる11勝。

 ▽89年・西本聖(巨人→中日) 86~88年は最高で8勝と低迷。移籍先で自己最多の20勝を挙げ最多勝。

 ▽同年・中尾孝義(中日→巨人) 88年は外野手としてプレーしたが、巨人で捕手に再コンバート。正捕手に定着し日本一に貢献。

 ▽96年・加藤伸一(ダイエー→広島) 90~95年は右肩痛の影響で計5勝。自由契約となり、テスト入団先の広島で9勝。

 ▽04年・小久保裕紀(ダイエー→巨人) 03年はオープン戦で右膝前十字じん帯断裂などの大けがを負い、出場なし。無償トレード先で自己最高の打率3割1分4厘。巨人の右打者として唯一の40本塁打以上(41本塁打)をマーク。

 ▽08年・平野恵一(オリックス→阪神) 06年のロッテ戦でフェンスに激突し、胸部軟骨損傷などの大けが。07年も58試合の出場に終わったが、トレード先で3年ぶり規定打席到達。

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