侍ジャパン・稲葉監督、巨人・菅野ら「黄金3本柱」に東京五輪託す…インタビュー後編

スポーツ報知
菅野智之投手

 侍ジャパン・稲葉篤紀監督(46)のインタビュー後編は、東京五輪での先発陣の構想に迫った。17年WBC組の巨人・菅野智之投手(29)とソフトバンク・千賀滉大投手(25)に加え、日米野球で好投した楽天・岸孝之投手(34)を軸に据える考えを示唆。また、正三塁手候補の巨人・岡本和真内野手(22)には五輪までの約1年半でさらなる成長を期待した。(取材・構成=宮脇 央介)

 経験も豊富 彼らが中心 稲葉監督が「試すことができる1年」と位置付けた18年は、五輪に向けて戦力面でいくつかの発見があった。中でも、日米野球第1戦の岸は際立っていた。

 「初戦の緊張感の中で、あれだけの投球。精神的にも強いですね。初代表では遠慮が出てくるものだけど、淡々と自分のやるべきことをこなしていましたね」

 WBCで使用するMLB球が合わず、過去に代表での登板はなかったが、日米野球の使用球は五輪と同じWBSC球。NPB球に近いWBSC球であれば、本来の力を出せるという判断だった。5回途中3失点だったが内容は十分。指揮官の確認を経て、菅野、千賀、岸という五輪の先発陣の骨格が見えてきた。

 「経験も豊富。疲れやけがが心配ですが、今のところは彼らが(中心)と考えています」

 現状、エースは実績と経験から菅野が有力。日米野球は扁桃(へんとう)摘出手術によって出場辞退となったが、評価は上昇一途だ。

 「毎年レベルアップしている。打者も研究してくるが“それ以上、もっともっと上を”という中で進化していると感じます」

 岡本もがき 壁ぶち破れ 先発陣のアウトラインを描くことに成功した稲葉監督は、野手編成においても動いた。三塁候補として岡本を日米野球で初選出。打率こそ2割1分1厘だったが、代表でも不変の“勝負強さ”に舌を巻いた。

 「日米野球のどこかで4番と思っていたけど、接戦が多くなかなか実現しなくて。ただ、5戦目のホームランがなければ最終戦の4番はなかった。100打点目も最後(シーズン最終打席)。彼はそういうものを持っていますね」

 来季は不調時の戦いざまにも注目しながら、信頼を持って岡本を見守っていく。

 「マークも厳しくなるけど、レベルアップして壁をぶち破ってもらいたい。悪いときにもがき苦しんで、人間的にも技術的にも成長する。巨人の4番として3割、30発、100打点を打つ能力、精神力がある。もし来年の調子が悪くても見方が変わることはない。持っているものは分かっているつもりです」

 18年は采配の自信を深め、新たな戦力発掘という成果を上げた。五輪前年の19年、目指す野球は何か。今季の手応えを根拠に、稲葉監督は真っすぐ前を見た。

 「日米野球では投手陣が失点しても、次の1点を与えなかった。粘りの野球をする中で逆転(5勝中3勝が終盤の逆転勝ち)が生まれた。1点を抑えにいって、1点を取りにいく僕の野球をやっていきます」

 ◆主な大会の日本代表先発陣

 ▽第1回WBC=優勝(06年3月)

 松坂、渡辺俊、上原が不動の3本柱。和田、杉内、清水がそれぞれの第2先発として支えた。

 ▽北京五輪=4位(08年8月)

過密日程で先発を多数そろえた中でダルビッシュ、杉内、和田、成瀬、涌井が先発。杉内と成瀬が好投した。

 ▽第2回WBC=優勝(09年3月)

 松坂と岩隈がWエース。当初先発だったダルビッシュは準決勝、決勝で抑えとしてV2に貢献した。

 ▽第3回WBC=4強(13年3月)

 前田、田中が2枚看板で、田中は大会途中からリリーフに。能見、大隣の左腕勢も存在感を示した。

 ▽第1回プレミア12=3位(15年11月)

 大谷、前田、菅野が軸となり、武田、西が続く布陣を敷いた。則本はリリーフでフル回転。

 ▽第4回WBC=4強(17年3月)

 菅野、千賀が柱として活躍したが、先発では石川が不調。救援は抑えの牧田、平野、秋吉が躍動した。

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