【楽天】寮長が審判…チーム初“二刀流” 中村稔氏、キャンプ帯同「ブルペンに入る」

スポーツ報知
NPB審判員として2876試合に出場した中村氏(写真は楽天がリーグ初優勝を決めた2013年9月26日、対西武戦)

 今年から、楽天の泉犬鷲寮の寮長に就任した中村稔氏(55)が、2月の春季キャンプ(沖縄・久米島)に帯同し、ブルペンで審判役などを務めることが19日、分かった。広報によると、寮長が春季キャンプで審判役を務めるのは球団史上初。昨年まで日本野球機構(NPB)の審判員を32年間務めた経験を生かし「選手のためになることなら何でも助言したい」と“二刀流”に向け意欲を見せた。

 合同自主トレで汗を流す新人たちに温かいまなざしを向けながら、中村寮長が口を開いた。「キャンプには帯同し、ブルペンにも入る予定です。捕手にはどんな取り方をすれば球審がストライクとコールしやすいかなど、審判の目線から、選手のためになる事は何でも伝えたい」。主に2軍に帯同する予定で、ブルペンでは審判役を、紅白戦などでは球審を務める予定。審判の役目を果たしながら経験を生かした助言も惜しまないつもりだ。

 投手に限らず若手にとって、貴重な経験となる。楽天の春季キャンプでは例年、1軍にはNPBから4~5名ほどのアンパイアが派遣されるが、2軍はなし(実戦を除く)。普段の投球練習からストライクとボールを正確にジャッジする審判がいてくれることは大きな意味がある。長島哲郎ファームディレクター(59)は「NPBの審判部で副部長まで務めた方。様々な場面で経験を生かしてくれると思う」と期待を込める。

 前職での経験をフルに生かす。名古屋電気高(現愛工大名電高)で内野手として活躍し、1982年にドラフト3位で日本ハムに入団。86年限りで現役を引退した後、審判員に転身した。NPB通算2876試合出場、日本シリーズ出場13回、オールスター出場5回と実績を残した。

 昨秋、楽天からの打診を受けて球団職員に就任。中村氏によると、NPBの審判から球団職員への転身は前例がない。キャンプ中に寮長が審判役を務めれば、球団史上初めてのこと。球団には審判用の防具などもないため、すでに発注済だという。「とにかく良い選手を出そうという思いでいっぱい」と意気込む中村氏。“異色の寮長”として、グラウンドの内外で選手を支えていく。(高橋 宏磁)

 ◆中村 稔(なかむら・みのる)1963年12月11日、愛知県生まれ、55歳。名古屋電気高(現愛工大名電高)で内野手として活躍。1982年にドラフト3位で日本ハムに入団。86年限りで現役を引退し翌年からパ審判部に入局。2004年には審判部副部長に就任。昨年までの32年間で、計2876試合の審判を務めた。177センチ、68キロ。

野球

×