長渕剛、愛犬レオ死す「一緒に死のうと思った」

2015年12月4日10時0分  スポーツ報知

 シンガー・ソングライターの長渕剛(59)が、このほどスポーツ報知のインタビューに応じ、11月26日に11歳で天国へ旅立った愛犬レオについて語った。東日本大震災や今夏の富士山オールナイトライブなど、音楽人生の激動期を共に駆け抜けた「戦友」。喪失感は強く、「一緒に死のうと思った」と胸中を吐露した。信頼、敬意、絆。“2人”の思い出が次から次へとあふれてくる。(関野 亨)

 レオはホワイト・スイス・シェパードのオス。ハンガリーで生まれ、ロシアを経由して2004年、生後4か月で長渕の元にやってきた。

 「大きな犬を飼いたいと、書物を調べたんですね。人間に忠実なシェパードは昔、軍用犬だった。戦場で銃弾を体に巻き付けて仲間に届ける。その映像を見て、心が底冷えした。さらに調べると、茶色ではなく白は目立つから役に立たないとされて、殺されてしまう。レオの先祖はそんな運命を持つ。いたたまれなかった。至急、ホワイト・スイス・シェパードを呼び寄せようって」

 「白き獅子」をイメージして「レオ」と名付けた。「外国犬は生後4か月たたないと日本に入れないそうで」ロシアで2か月を過ごしたが、現地で世話をする人には「レオ」と呼ぶように頼んだ。待ちに待った対面。しかしレオは、母犬と早くに引き離された影響からか、おびえ、震えていた。

 「隅っこの暗いところからじっと人間を見ているような。これじゃあ仲良くなるのは無理かなって」。そんな考えは、やがて180度変わった。「信頼を回復する訓練を始めたら、分かった。人間の考えや動きは、犬にとっては“真っ逆さま”の大間違い。僕らが訓練させられたわけです。白いものは無垢(むく)。無垢な魂を持った生き物が、人間界より過酷な運命を背負い、こちらに迫ってくる。犬も命懸け、こちらも命を懸けようって」

 忘れられない出来事がある。レオとミュージックビデオで共演した時のことだ。海岸での撮影。海は荒れ、波が高い。「僕が飛び込むと、後からレオも波に突っ込んでいく。何回も何回も。溺れて死のうとも、『私も行きます。岸に戻るのなら一緒に戻ります』って僕と会話する。その時、ずっと自問自答してきた、人の先頭に立つ意味を教えられた。命令を出す僕には、命にかかわる非常に大きな責任があるんだと」

 別れは突然やってきた。レオは何の前触れもなく自宅で倒れ、11月26日午前9時50分、病院で息を引き取った。脾臓(ひぞう)に腫瘍ができており、その影響で動脈が破裂したという。長渕ら家族5人が見送り、27日に荼毘(だび)に付した。

 「一緒に死のうと思ったんです。レオを運び込んだ焼き場に、僕も入りたいって。父と母が亡くなった時にも感じたことのない、初めての気持ちだった」。そう言って十字架のペンダントをギュッと握りしめた。レオが首につけていたものと似たデザイン。「この中に骨と毛が入っている。こうでもしないと生きていけない。これが僕の祈りの対象になっていきます」

 気高く、雄々しく生きた11年。ライブに出演したり、「レオ」と題した曲になったり、ファンにも愛された。04年、故郷・鹿児島の桜島オールナイトライブが終わった後、レオは導かれるようにやって来て、震災復興活動、そして今年8月の富士山ライブを見届け、星になった。

 「音楽人生の激動期を、追従してくれた戦友です。スパーンと断ち切るように逝ってしまった。彼はこう言いたかったと思う。『これからお前は何をしなきゃいけないか、分かってるな』と。愛情なんて生やさしいモンじゃない、厳しさを感じるんですね」

 長渕はいま59歳。38年の音楽人生。富士山10万人オールナイトライブを命懸けで成功させたが、レオは立ち止まることを許さない。

 「次の目標は何だ?って考えたとき、『死』です。歌えなくなったときが僕の死。必ず死ぬ、『必死』という言葉の重さが分かった。何を歌うか、どういう形でパフォーマンスをしていくか。フォーカスを絞り込んで、死にざまというものを考えていかなければいけない」

 都内スタジオで1時間のインタビュー。長渕は泣くことも取り乱すことも一切なかった。目標が定まったことで何かの境地に達したのだろうか。こんなに優しく、りりしい顔は初めて見た。

 ◆レオ 2004年8月6日生まれ。鼻先から尻尾の先まで真っすぐの状態で約2メートル。死亡時の体重は43キロだった。妻で元女優の長渕悦子さん(60)によると04年当時、日本に入ってきたのは2頭目。長渕家には、レオの息子アエラ(犬種は同じ、9歳)と、ホワイト・シェパードのオスのPAO(パオ、1歳7か月)がいる。

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