肺がん大林宣彦監督、魂の「遺言」28分間

2017年6月12日4時0分  スポーツ報知
  • 28分にわたってあいさつした大林宣彦監督

 昨年8月にステージ4の肺がんの宣告を受けた大林宣彦監督(79)が11日、都内で行われた国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」の授賞式に公式審査員として出席した。5月にがんが報じられて以降、初の公の場で、後輩の映画製作者たちに向けてメッセージを贈った。

 魂の「遺言」だった。つえをつき、やせた頬で登壇した大林監督は小倉智昭キャスター(70)、俳優の三上博史(年齢非公表)ら他4人の審査員が1分程度の講評を述べた後、マイクを握った。「余命3か月の宣告を受け、本当はここにはいないはずでしたが、まだ生きてます。生きているならば、ただ一人、胸に温めていた黒澤明監督の遺言を伝えようと命懸けでここに立っております」

 親交の深かった世界の巨匠から告げられたという非戦の思い、アマチュアイズムの信念などを28分間にわたって力強く語った。最後に「映画とは風化せぬジャーナリズムである。自分自身を確立する手段であるという意識を持って生きていってほしい。黒澤監督が言った『俺の続きをやってよね』という言葉を、若い人たち皆さんに贈ります」と言い残して、舞台袖に消えた。会場に大きな拍手がこだました。

 映画「時をかける少女」「転校生」などで知られる大林監督は昨年8月、監督人生の集大成と位置づける作品「花筐(はなかたみ)」のクランクイン前日にがん宣告を受けた。窪塚俊介(35)や満島真之介(28)らが出演し、日米開戦前夜の若者たちの青春群像を描いた作品を、治療と並行して撮影。既に完成し、12月に公開を予定している。

 終了後、取材に対し「がんはまだありますけど、現代の医療はすごくてね。もう少し生きるつもりでいます」と柔和な笑顔を見せていた。

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