映画×オーケストラ=シネマコンサート…人気の裏側に迫る

2017年9月26日12時0分  スポーツ報知
  • 「シネマコンサート」の魅力や開催への苦労を語った飯島則充さん(左)と岩崎井織さん

 映画をスクリーンで見ながら、舞台上のオーケストラによる劇中音楽の生演奏を楽しめる「シネマコンサート」が人気を集めている。チケット料金は1万円前後と高額だが、ハリウッドの大ヒット作を臨場感たっぷりに楽しめると評判。8月には東京・渋谷でサスペンスの名作「砂の器」のコンサートが開催され、全公演がほぼ満席となるなど、邦画にも広がりを見せている。「新しい映画の見方」と注目されているシネマコンサートの裏側に迫った。(高柳 哲人)

 映画館よりも巨大なスクリーンで作品を楽しみながら、指揮者の合図でオーケストラがおなじみの劇中曲を奏でる―。2時間にわたり、ぜいたくな時間を過ごすことのできる「シネマコンサート」は、映画ファンであればぜひ、体験すべき“イベント”だ。

 上映される作品は、セリフや効果音などはそのままに、劇中の音楽だけをカット。指揮者は小さなモニターで映像を見ながらタイミングを合わせて指揮棒を振るという仕組み。「コンサート」という開催形態のため、区切りのいい場所で映像をいったん止め、休憩を挟んだ2部制で行われることが主流となっている。

 シネマコンサートを企画・制作する株式会社プロマックスの飯島則充プロデューサーは、観客として初体験したコンサートで、それまでにない感覚に襲われたという。「ネットで見つけて、シカゴまで『ゴッドファーザー』を見に行ったのですが、視覚、聴覚に訴えてくるものが素晴らしかった。とにかく圧倒されました」と振り返った。

 チケットの料金は約1万円。通常の映画の5本分以上と高額だが、売り上げは上々だ。8月に5000人収容の東京国際フォーラム・ホールAで開催した「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は2公演とも満席となった。「最近は『いいものにはお金を出す』という傾向が強くなっている。ちょっと無理をしても、楽しんで映画を見たいという人が増えているのだと思います」と飯島さん。9月29日から全国3か所で今年の米アカデミー賞で監督賞など6部門を受賞した「ラ・ラ・ランド」、さらに10月13日から「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のシネマコンサートを開催する。

 映画と並んで、もう一方の「主役」となるオーケストラ。日本では現在、東京フィルハーモニー交響楽団が最も多く公演している。同楽団の公演事業部・岩崎井織課長は「『総合芸術』として、また音楽の楽しさを味わえる新たなジャンルとして、これから広がっていくのでは」と期待を寄せる。

 岩崎さんによると、シネマコンサートは演奏者にとってプレッシャーを感じることが多いという。「演奏するのは、皆さんがよく知っている曲ばかり。しかも、映像があるので、ズレればすぐに分かってしまう。また、作品によって音楽が流れている時間はさまざまですが、長い場合は楽譜が通常の交響曲の10倍くらいあり、短い場合は待つ時間が多くなる。どちらも大変なんです」。それでも、やりがいを感じる団員は多いそうで「『スター・ウォーズ』が決まった時には、参加の手を挙げる人が多かったですね」と話した。

 今後も、さらに拡大していくとみられるシネマコンサート。飯島さんも「邦画も含めて、どんどん開催していきたい気持ちはある」としながらも「単にレパートリーを増やせばいいということではない」と慎重さを崩していない。

 「何でもシネマコンサートにすればいいかといったら、そうではない。音楽にインパクトがある作品でなければ意味はないと思いますし、客も入らない。いいコンサートでお客さんを育てていく必要があるのと同時に、どんな作品にニーズがあるのか情報を集める必要があると思います」。その第一歩として始めたのが、無料ネット会員による「シネマ×オーケストラ メンバーズ」。新作の情報発信の場であると同時に、アンケートなどにも活用していくことを視野に入れている。

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