GENERATIONS・片寄涼太、プロ目指すきっかけはATSUSHIの言葉

スポーツ報知
グループへの思いなど心境を語ったGENERATIONSの片寄涼太(カメラ・小泉 洋樹)

 7人組ダンス&ボーカルグループのGENERATIONS from EXILE TRIBEの全国ツアー「MAD CYCLONE」(11か所29公演)が18日に終了した。来春に初となるドームツアーも発表され、ボーカルの片寄涼太(23)は「今までの経験を生かし全てを出し切りたい」と意欲を口にした。2010年に高校1年で「VOCAL BATTLE AUDITION 2」のファイナリストになるも落選。EXILE・ATSUSHI(37)の金言にプロを志したという。それから7年、今年は映画「兄に愛されすぎて困ってます」でスクリーンデビューも果たした。グループへの思いなど現在の心境を聞いた。

 グループ単独のアリーナツアーは昨年に続き2度目。今回は気持ちに余裕を持って臨めたという。

 「昨年は初めてのアリーナで、会場の規模に圧倒されないよう立っているのに必死でしたが、今年はしっかりと地に足を着けて自分らしく立つ、という気持ちをメンバー全員が持っていました。セットリストをはじめ、いろいろ意見を出し合ったりしましたね。みんな自然と、さらに進化したものをつくるという意識が強かったと思います」

 今週、来年のドームツアーが発表になった。EXILE、三代目J Soul Brothers(JSB)、そしてEXILE・ATSUSHIら先輩に続き、EXILE TRIBEで4組目となる。

 「これまでの5年間を出し切って、先輩方の名を汚さないステージを見せたいと思います。僕らは個人活動も多くなりましたが、それもジェネがあるからこそ。みんなで動いている瞬間あってこそだと思うし、この7人でドームのステージに立てるのはうれしい。ライブ前は(演出などをめぐり)メンバーで『あーだ、こーだ』とぶつかることも多いけど、誰がどう考えているのか聞けるからうれしい部分もあって。ライブはジェネの核だからこそ、僕ららしいモノをつくり上げないといけない。自然と真剣になりますね」

 ―LDHの所属グループは、みんなチーム愛が強いと思うが。

 「自分たちは小中学生の時にEXILEの姿を見て、夢を抱いて集まったメンバーです。もちろん歌がうまくてダンスがすてきという憧れもありますが、男同士の仲の良さやチーム愛とか、そういうものを見て惹(ひ)かれたこともある。僕らの中にも自然に反映されていると思います」

 歌手志望ではなかった。きっかけは三代目JSBのボーカルを選ぶオーディションだが、最初は記念受験の気持ちが強かったという。

 「芸能人に『なれる』とも『なりたい』とも思っていなかった。選手には絶対になれないと思いながらもサッカーをやっていたり、自分には現実的というか冷めた部分もありました。オーディションも子供の頃からピアノをやっていて歌も好きで、EXILEのファンだったからというのがベースにあって、HIROさんとATSUSHIさんが会場で『応募者の歌を聴きます』という募集のコピーもあり、自分の歌を聴いてもらえるという興味からでした。審査は流れ作業のように進み、自分も煙のように消えていくのかなと思っていました」

 1次、2次と難関をパスしていく。3万人が受けたオーディションで夢を勝ち取ろうとするライバルに鼓舞されたものの“お客さん”気分は抜けなかった。

 「審査が進む中で熱い思いを持った人と出会って刺激を受けましたが、まだ『歌手になる』という強い思いはちょっとね…。高1の男子が急にオーディション番組で追っかけられながら審査をクリアしていく―。何が起きているのか整理できていない精神状態ですから、真剣に受けに来た人とは意識は違うでしょ。登坂(広臣)クンとか今市(隆二)さんとか、年が上の方は人生がかかっているワケで。そこはウソをつきたくないし『俺は歌手を目指していた』とは言えないです。でも、挑戦するのはリスクを伴うし失うモノもあるという、この世界のことは学びました」

 落選後に特待生に選ばれ養成所に通ううちに、ATSUSHIの言葉が重くのしかかってきたという。

 「オーディション後の食事会でATSUSHIさんが『地元の人気者で終わってもいいとは思う。でもこの世界を志すのであれば、自分もボーカリストとして磨き続けて、みなさんと同じ目線で突き離しにいきたいです』と。そこに覚悟というか美学を感じました。自分は夢を諦めても大学に進学して普通に生きていけるワケですが、ここで引いちゃうと“ただの地元の人気者”っていうか…。くすぐられた言葉でした」

 2011年にジェネが結成され「夢者修行ツアー」を経て翌年にデビュー。隣には同じくボーカルを務める盟友・数原龍友がいた。

 「同じ関西出身で一緒に新幹線でオーディションに通っていました。兄貴的な存在で、それは今も変わってません。自分も意地を張る場面もあったからぶつかることもありました。僕は歌も下手だから龍友君が前に立って引っ張ってくれた部分もありました。これは彼も言っていたんですが、『兄貴ぶらなくちゃいけない』というか強がっていた部分もあったらしいです(笑い)。僕はそこで助けてもらったし、その分ボーカリストとしてできることをやろうと、そんなことを考えながらの5年間でした」

 ―5人のパフォーマーに求めることは。

 「ボーカリストには“歌”というプレッシャーはあります。歌う曲が7人の作品となるからこそ、どんな楽曲もみんなのものということをグループでいかに共有できるかが大事で、常にボーカルとパフォーマーの間にある課題だと思います。まあ、こちらは『こういう思いで収録したから聴いてみて』『楽曲制作に参加してくれてもいい』といったアプローチをしていますし、パフォーマーからは収録時に差し入れも。そんな心遣いはうれしいですね」

 今年は出演したドラマ“兄こま”が映画化され、銀幕デビューを飾った。俳優業も板についてきたが…。

 「(初ドラマの)『GTO』の時は若かったなと思います。今でも若造ですが…。画面で自分を見た時は気持ち悪いというか、一生懸命に臨んだ結果がこうなるのかっていう程度で満足感はなかった。(主演の)撮影に入る前、一度AKIRAさんにサシで食事に連れていっていただいたことが心の支えになりました。AKIRAさんの現場でのたたずまいや共演者との触れ合い方は勉強になったので、“兄こま”でも出演者の一人として現場の雰囲気づくりや周囲への気遣いを意識した部分はありました」

 ―映画ではヒロインに思いを告げられない役だった。

 「役には切なさを感じていました。自分個人としてはドンと行くかもしれないですね。意外とそういった部分に関しては慎重派じゃないかも…。でも、『ドンと行く』という見出しは嫌ですよ(笑い)。今の目標は、いろんな役を生きてみたいし、いろんな方の人生から感情を学びたいと思います。僕の軸はボーカリストで、芝居をして、そこに肉付けできるのが理想ですね」

 現実的で慎重派と自己分析しているが、理路整然と語る姿には正義が感じられる。ベビーフェースの裏には固い意志が垣間見えた。(ペン・国分 敦)

 ◆両親の応援に感謝

 歌手を目指して上京したが、背中を押してくれたのは両親だった。

 「デビュー時はワクワク感もありましたが不安の方が大きかった。そこ(成功)に自分がたどり着けるのかなって。慎重派なのかも。ちょっと真面目というか頭で考え過ぎることがあるんです。5年間やってきましたが、応援してくれた両親には感謝しかありません。一人息子ですから、特に母は心配したと思いますが、『大学はいつでも行ける』と送り出してくれました。しっかり親孝行しなくちゃいけないと思っています」

 ◆片寄 涼太(かたよせ・りょうた)1994年8月29日、大阪府生まれ。23歳。2010年に「VOCAL BATTLE AUDITION 2」でファイナリストとなるも落選。12年にGENERATIONSのボーカリストとなり、同11月にシングル「BRAVE IT OUT」でメジャーデビュー。14年フジテレビ系「GTO」で俳優デビュー。17年に日本テレビ系ドラマ「兄に愛されすぎて困ってます」の映画版がきっかけで中国で人気が急上昇。同国版ツイッターの微博(Weibo)の公式アカウントで、ハッシュタグの閲覧数が6億を記録し日本人トップに。身長183センチ、血液型AB。

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