明日海りお「ポーの一族」エドガー役でタカラヅカ104周年のスタート飾る

スポーツ報知
タカラヅカの顔として104周年の歌劇団を始動させる花組トップスター・明日海りお

 花組トップスター・明日海りおが、不朽の名作少女漫画の初ミュージカル化で、タカラヅカ104周年のスタートを飾る。萩尾望都(もと)さんの人気作を原作にした「ポーの一族」が来年1月1日に兵庫・宝塚大劇場で開幕。不老不死の一族に身を投じた青年・エドガーを演じる現役最長歴トップは「清く正しく美しく、の『美しく』を常に意識しています」と、年始に向けて全神経を集中させている。(筒井 政也)

 来年5月でトップ歴丸4年の“劇団の顔”明日海が、未知なる大作で新春を迎える。「お正月から舞台に立つのが好き。神聖な空気が流れていて、身も心も引き締まります」。そんな大劇場にさらに神秘的ムードを加えようと、稽古に奮闘中だ。

 「ポーの―」は1972年に発表された少女漫画の金字塔。永遠に年を取らずに生きていくバンパネラ(吸血鬼)の一族に加わったエドガーの運命を描く。

 「年齢を重ねずに、ずっと時が続いていく。タカラジェンヌは、専科の方もいらっしゃいますが、長くても十数年で卒業していく身。対極のところにあると思う」。宝塚の“宿命”を知る立場として、演じる上で不安があったが「曲がついていくと、さみしさ、もの悲しさ、人恋しさのようなものが湧いてきました」。生きるために人間であることを捨てた葛藤など「気持ちの変化が楽しい」と話す。

 少女漫画らしいビジュアルも課題だ。「彼らはいいですよね、美しさが持続できて。私はお手入れを頑張ります(笑い)」と“永遠の美”の表現に余念がないが、ブルーのコンタクトレンズを普段使いするなど、工夫を重ねる。「漫画って自由。目の大きさとか…」と苦労する一方、「エドガーは少年っぽくもあり、長年の年月を重ねた落ち着きもある。独特な雰囲気を醸し出したい。吸血する場面などはドラマチックに、セクシーに」と宝塚らしい見せ方も強く意識する。

 「エリザベート」などで知られる巨匠・小池修一郎氏が30年以上「いつか舞台化を」と願い続けた作品。明日海は「これまではダメ出しの連続で、だんだんエンジンをかけていたのに『心配しなくて大丈夫』と確信を持って下さっている。私の方が大丈夫?と(笑い)」。小池氏のイメージ通りのエドガーなのだろう。

 エドガーに連れられて一族に加わるアラン役は、2番手に昇格する9年目・柚香光(ゆずか・れい)。「いい意味で引っ込んでしまわず、自分を発揮できる人。プレッシャーのせいで持ち味を失ってほしくないので、責任感は後から備わればいいのでは…と思えるぐらい、私がしっかりしないと(笑い)。彼女が出すパワーに、ビクともしない存在になれたら」。花組に吹く新しい風を、背中でしっかりと感じ取る。

 次回大劇場作「MESSIAH(メサイア)」(7~10月)では天草四郎時貞を演じるなど、若き青年役が続くが「来年後半には、男役に深みが出たなと思っていただけるように」。歌劇団のリーダーとして頼もしく、たくましく―。

 ◆明日海 りお(あすみ・りお)6月26日生まれ。静岡県静岡市出身。2003年4月「花の宝塚風土記」で初舞台。89期生。月組配属。13年3月に花組に組替えになり、14年5月に花組トップスターに就任。来年5月4~26日の博多座公演「あかねさす紫の花」では大海人皇子と中大兄皇子を役替わりで演じる。身長169センチ。愛称「みりお」「さゆみし」「みりりん」。

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