吉永小百合、5年ぶり生歌披露 120本目出演映画「北の桜守」舞台あいさつで涙

スポーツ報知
壇上で5年ぶりの生歌を披露した吉永小百合(カメラ・相川 和寛)

 女優・吉永小百合(72)が4日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで行われた120本目の出演映画「北の桜守」(滝田洋二郎監督、3月10日公開)の完成披露舞台あいさつで、5年ぶりに生歌を披露した。

 吉永は、この日のために新調した桜の着物で登場。「中2(1959年)のとき、初めて映画に出て、120本目になりました」とあいさつすると、約2000人の観客から拍手が沸き起こった。途中、感極まって声が震え、目にはうっすら涙が。作品については手応え十分の顔で「皆さまのお心に、ずっと残りますように」と締めくくった。

 舞台では小椋佳(73)が作詞・作曲した主題歌「花、闌(たけなわ)の時」を、小椋や共演の岸部一徳(70)と一緒に歌った。岸部はグループサウンズ時代に一世を風びした「ザ・タイガース」でサリーの愛称で親しまれた。NHK紅白歌合戦に5度出場している吉永も開始前は「サリーさんと一緒と思うとドキドキ」と不安を口にしていたが、伸びやかな歌声を響かせた。無事に歌い終え「小椋さんの歌声に聞きほれて自分の声は聞こえませんでした。緊張していたのかも」と謙遜していた。

 「北の桜守」は「北の零年」(05年)、「北のカナリアたち」(12年)に続く“北の3部作”の最終章。時代にほんろうされながらも、希望を捨てずに波乱の人生を生き抜く女性を描く。

 試写会の前の記者会見では吉永と親子を演じた堺雅人(44)、息子の妻役の篠原涼子(44)が出席。吉永は堺に「私よりプロフェッショナル。意識せずにスーッと親子になれた」と感謝すれば、“息子”は「吉永さんはいつもひたむき。母か恋人か分からなくなるような場面もありましたが、幸せでした」と返した。また「共演が夢だった」という篠原は「吉永さんがアスリートとは。私もやろうかな」とつぶやくと、すかさず吉永から「同じジムの同じプールで一緒に泳ぎましょう」と誘われ、びっくりしていた。

 ◆舞台挑戦に白髪…冒険しまくり

 120本目。多くが「集大成」の言葉を頭に浮かべるだろう。しかし、見た映画はその真逆の印象だ。劇中劇の形だが“最初で最後”の舞台挑戦、これまで見せたことのない白髪、老いて記憶が遠のく姿など冒険しまくり。サユリストでなくとも驚かされる。

 家族、親子、戦争を扱った壮大な作品だ。前半、話が一体どうなっていくのか不安に襲われた。でも不思議なことに、逆にそれが見入る力を生み出し、後半につながる。滝田監督の意図通りで、編集センスが光る。

 マスコミ試写では「9割の人が泣いて帰る」と東映スタッフも胸を張る久々の自信作。記者も泣いた。約300館の大規模公開で興収30億円を本気で狙うという。単なるエンターテインメント作品とは違う。重い内容で近年の邦画のヒット作にはないタイプだ。テーマ的に家族連れをどれだけ引っ張ってこられるか。責任重大の宣伝の手腕にも注目したい。(映画担当・内野 小百美)

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