中園ミホ氏が描く独自の西郷像「逆境は人を必ず強くする。それを伝えたい」…7日スタート「西郷どん」

スポーツ報知
中園ミホ氏

 2014年度前期連続テレビ小説「花子とアン」やテレビ朝日系ドラマ「ドクターX 外科医・大門未知子」などで知られる脚本家・中園ミホ氏(58)が初めて時代劇に挑んだ「西郷(せご)どん」(7日スタート、日曜・後8時)は、西郷隆盛のイメージを一変させそうだ。

 タイトルは地元・鹿児島の人々が、西郷に対して親しみを込めた呼称。中園氏は「誰もが知っている歴史上の偉人ではなく、欠点もあり、大恋愛したりする人間・西郷隆盛を生き生きと描きたい」と力を込める。

 1990年、司馬遼太郎氏原作の「翔ぶが如く」が大河ドラマ化。西田敏行が演じた西郷は、とらえどころのない寡黙な人物像だった。残存する写真がなく、肖像画も本人か定かでないとされる中、中園氏は古文書や手紙を手がかりに独自の西郷像を見いだした。

 「上野の像や時代劇では無口でのっそりとしているが、違ったと思う。狩りも上手で精悍(せいかん)な人。ユーモアもあった」。古文書に西郷は「餅のような人」と記されているという。「お餅を2個焼くとくっついて同化する。それぐらい人の心情に寄り添う。男尊女卑の薩摩で女性にも優しい、情の人だったのでは」

 原作の林真理子氏(63)とは、ドラマ「不機嫌な果実」「anego」などでタッグを組んだ旧知の仲。「常に高みを目指しなさい」と激励され、今回は苦手な歴史に挑んだ。「花子―」でヒロインの夫役を演じた、主演の鈴木亮平(34)については「想像以上に鍛えられて、野性的になっている。(西郷のイメージは)慎重で努力家、かつ大胆な鈴木さんに引っ張られているところもある」と、そのストイックな役作りに刺激を受けている。

 西郷を通して伝えたい思いがある。「理不尽な理由で計5年ほど島流しにされたり、侍なのに右腕の腱を斬られて剣術ができなくなった逆境の人。そこに注目すると、西郷が魅力的に見えてくる。逆境は人を必ず強くする。それを伝えたいというのが、私のひそかなテーマ」(江畑 康二郎)=おわり=

 ◆中園 ミホ(なかぞの・みほ)1959年7月16日、東京都生まれ。58歳。日大芸術学部卒業後、広告代理店勤務、占い師を経て88年にテレビドラマ「ニュータウン仮分署」で脚本家デビュー。2007年「ハケンの品格」で放送文化基金賞と橋田賞を、13年「はつ恋」「ドクターX―」で向田邦子賞と橋田賞を受賞。10年から日大芸術学部客員教授。

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