【小室という男】９６年チャートトップ５独占からつんく♂台頭で失速

　小室は、平成を代表するヒットメーカーだ。

　ＴＲＦをはじめ、安室奈美恵、ｇｌｏｂｅ、華原朋美、ＴＭ　ＮＥＴＷＯＲＫら自らが手掛けたアーティストのシングル、アルバムなどの総売り上げ枚数は約１億７０００万枚を数える。

　作曲家として花開いたのは、渡辺美里の「Ｍｙ　Ｒｅｖｏｌｕｔｉｏｎ」（８６年）。ＴＭ　ＮＥＴＷＯＲＫとして１９８４年にデビューしていたが、まだ駆け出しで無名に近い存在。楽曲のヒットが、作曲家としての自信を深めることになる。

　きっかけは９０年代半ば、「篠原涼子　ｗｉｔｈ　ｔ．ｋｏｍｕｒｏ」名義で発表した「恋しさと　せつなさと　心強さと」（９４年）のヒットなどで注目を集める。その後、ミリオンヒットを連発していく。コンピューターを駆使した楽曲は、小室のイニシャルの頭文字をとって「ＴＫサウンド」と呼ばれ、社会現象に。楽曲を受けた歌手は「小室ファミリー」とも称され、一大グループを築き上げた。

　ＴＲＦは５作連続でミリオンセラーを記録。９６年４月にはチャートのトップ５をファミリーで独占。音楽プロデューサーとしての地位を固めた。

　９０年代後半はバンドブームやつんく♂プロデュース作品に押され、勢いは急速に減退。２０００年以降は度重なる金銭トラブルも報じられていた。