珠城りょう、誠実サラリーマン&地球を襲う悪党 真逆2つの顔に挑戦!

スポーツ報知
「“月組カンパニー”として高めあいたい」と一丸を誓う月組トップスター・珠城りょう

 宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょうが、2月9日開幕の兵庫・宝塚大劇場公演で180度違った“2つの顔”で魅了する。ミュージカル「カンパニー ―努力、情熱、そして仲間たち―」では誠実なサラリーマンを演じ、ショー「BADDY(バッディ)―悪党(ヤツ)は月からやって来る―」では地球を襲う悪党に大変身。「この一年は保守的にならず、さらに明るく前向きに」と“挑戦”を楽しむ。(筒井 政也)

 2018年の月組始動作は、昨年5月に出版された伊吹有喜氏の小説「カンパニー」の舞台化。会社員・青柳誠二が、門外漢のバレエの世界で働くことになり、知識を吸収しつつ、仲間たちとともに成長していく。

 他組でも珍しい日本が舞台の現代劇。「リストラ、出向とか、現実的な内容も入ってきますが、夢々しく、宝塚らしく描くところも。『ウチの会社にも、青柳さん、いないかな?』と日常に近い感覚で、余韻に浸っていただけるのでは」。ダイキンのテレビCMで演じる、さっそうたるキャリアウーマンの経験も生かせそうだ。

 好きな俳優の阿部サダヲ(47)、小日向文世(64)、堤真一(53)が演じたら…と想像を膨らませて役作り。一番大切にするのは原作者・伊吹氏の「青柳の武器は誠実さ。精神的に一番強い」という言葉だ。「私も思った事をきちんと言葉にして伝えたい」と、9年目でトップに就任した若きリーダーは青柳に共感を込める。

 一方で「珠城=誠実じゃない部分もあるんですよ(笑い)」。下級生時代から抜てきが続き、先輩に囲まれた。「どうしても『ちゃんとしなきゃ』となって、硬い印象も持たれていると思いますが、基本的にのびのびした体質で」。月組を率いて1年4か月。車のハンドルでいう“遊び”の部分を感じさせる笑顔だ。

 秘めた魅力が発揮されそうなのが「BADDY」。女性演出家が史上初めて手掛ける「挑戦の連続」のショーは、設定自体が超異色だ。近未来、平和一色となった地球の首都TAKARAZUKA―CITYに月の悪党が殴り込みをかける。

 「宝塚の主演だと、悪役をする機会がなくなるので、すごくうれしい。コミカルな部分もちりばめられ、青柳とは振り幅が恐ろしいほど違う(笑い)」。芝居的要素が濃く「ショーの固定観念を横に置いて見てほしい。深く考えず、思いっきり楽しんでやれば受け入れてもらえるはず。大マジメにふざけてやりたい」と幕開きを楽しみにしている。

 「保守的な子が意外と多い」と評する下級生にとっても“変身”の場だ。「一歩踏み越えてもいいのかな? ではなく、最初からやっていい。今は私が率先して、稽古場でさらけ出してやってみる。私がやるしかないだろう、と」。3月で入団から丸10年で得た強さ。やはり誠実な人だ。

 インタビュー後にトップ娘役・愛希(まなき)れいかの11月での退団が発表された。「トップコンビでやる作品は面白いものばかり。冒険させたい、と思っていただけるなら、役者として、これ以上うれしいことはない」。月組の未来予想図を示す2本立てになりそうだ。

 ◆珠城 りょう(たまき・りょう)10月4日生まれ。愛知県蒲郡市出身。2008年3月「ME AND MY GIRL」で初舞台。94期生。2番手での全国ツアー主演を経て、16年9月、月組トップスターに。入団9年目のトップ就任は近年では月組・天海祐希(現女優)の7年目に次ぐ史上2番目の早さ。6、7月に「雨に唱えば」、8~11月に「エリザベート ―愛と死の輪舞(ロンド)―」主演。身長172センチ。愛称「りょう」「たまき」。

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