講談師・神田山緑、真打昇進披露「感謝しかありません」

スポーツ報知
鏡開きを行う講談の人間国宝・一龍斎貞水(左から2人目)神田山緑(中央左)神田すみれ(同右、カメラ・越川 亘)

 講談師の神田山緑(41)の真打昇進披露が18日、東京・有楽町の帝国ホテル行われ、人間国宝で講談協会会長の一龍斎貞水会長(78)をはじめ300人が出席した。真打昇進披露興行が4月18日から順次開催、準備に追われるなか、心境を語った。

 真打披露の宴を終えた山緑「パーティー中も夢ごこちでした、たくさん集まっていただき本当に感謝しかありません」と話した。

 トヨタ自動車を退社後、師匠となる神田すみれ講談教室に通った山緑、「先生、僕、プロになりたいんです」と手を上げた。すみれ師は「ダメダメ、いろいろな講談を聞いて、勉強して1年たってまだやりたかったらそのとき考えるね」と返事、1年後再び門をたたきやっと入門を許されたという。

 突然会社を辞め講談師に。両親には迷惑をかけた。昨年4月、真打昇進が決まった時、母・千恵さん(66)がかつて勤務していた東京・有楽町の帝国ホテルで昇進披露を開こうと決めた。「値段うんぬんではなく、母が喜んでくれると思い、見積もり見てびっくりしましたけど、即予約しました。母は一番後ろの席で見てくれました。恩返しができたと思います」と笑った。

 パーティーの後、師匠のすみれは「みんな応援してくれている、皆さんがあるから今がある、いいお客を持った、大看板になりなさい」と祝ってくれたという。

 一龍斎貞水講談協会会長は「女性の人数が多い講談の世界で、山緑講談は男性ならではの高座になった。これからますます山緑君にふさわしい演目を増やしていって下さい。『これが講談だ』という高座を」と期待をこめた。

 山緑の張り扇が「パパン」と、力強く響く昇進披露の高座が日本橋、上野、中野で行われる。山緑は「三方ケ原軍記」の連続読みなどを披露する。実力はお墨付き、講談界の重鎮も出演する。春の日差しの中、神田山緑の話芸に耳を傾けたい。

 ◆神田山緑 真打昇進披露興行

 ▽4月18、19日 お江戸日本橋亭 講談夜席 17時40分開演

 ▽4月25日、26日 上野広小路亭 講談会 12時40分開演

 ▽4月28日 お江戸日本橋亭 講談 土曜特選会 12時40分開演

 ▽5月5日 なかのZERO小ホール 神田山緑 真打昇進披露興行 15時開演

 ◆神田 山緑(41)昭和51年8月28日生まれ 東京都出身。大学を卒業後トヨタ自動車に入社、営業マンとして活躍。講談師を目指し平成17年神田すみれに入門、18年5月講談協会前座、21年9月、二つ目昇進。29年4月、講談協会総会で真打昇進決定。26年東京五輪に向け、講談ゴリンジャーを旭道南鷹、玉田玉秀斎、田辺銀冶、一龍斎貞鏡らと結成。同10月中野区観光大使就任。東洋大、清泉女子大、文教大特別講師、テレビ、ラジオナレーションで活躍。

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