辛坊治郎キャスターが全国ネット放送特番をお届け!

スポーツ報知
「素人にはまねできない、再現映像のプロの技も見てほしい」と番組の魅力を語る辛坊治郎氏

 ニュースキャスターでジャーナリストの辛坊治郎氏(61)が、22日に読売テレビ制作で全国ネット放送される特番「生死を分けたその瞬間 体感!奇跡のリアルタイム」(後9時)で司会を務める。一歩間違えれば大惨事に至った実際の事件を、臨場感たっぷりに“再現”する迫真のバラエティー。「もしも、危機的状況になった時でも対処し得る、自分の命を守るために役に立つ番組です」。“ユーチューバー”デビューや、自身の今後についても聞いた。

(筒井 政也)

 2014年夏に関西ローカルで始まり、翌15年に全国ネット昇格。年に一度の恒例特番だ。「今、読売、日テレは絶好調。レギュラー化する隙がない(苦笑)。でも、毎週の放送は無理なほど、ネタのクオリティーが高い」と自信を見せる。

 昨春の放送では2013年に起きた、自身の太平洋ヨット遭難事故を取り上げた。今回は、運転手が突然意識不明になった観光バスの“暴走”を2人の女性客が食い止めた1分34秒の奇跡など、3本を紹介する。「もし、同じ事が身の周りで起こったとき、自分の体は動くのか。何事にも大切なのは『経験』。この番組は、他人の経験を自分のものにできる。危機を一度体験しておくのは人生にとって価値がある」と力説する。

 他にも、大惨事まで紙一重の「世界のスレスレ動画」を多数用意。「人類史上初めて、誰でもどこでもカメラで撮影できる時代ですが、決定的瞬間を捉えるのは奇跡に近い。1年間かけた成果ですね」とPRした。

 実は2月に動画サイト「You Tube」で公式チャンネル「辛坊の旅」を開き、ユーチューバーとして始動した。「経済的にペイしようとすると、とんでもない努力が必要」と笑うが、カメラを手にしたことでメディアの未来像も見えてきた。

 最近、衝撃的だったというのが、放送法第4条(政治的な公平の義務づけなど)の撤廃を政府が打ち出したこと。「放送局と、ネット媒体の境界線を取り除こうという本気の動きが、政治的に起きている」

 そうなると、より放送内容の質が問われる。そこでテレビのしぶとさ、強さが生きるか。「ラジオがテレビの台頭で衰退したように、次はテレビも…と1990年代後半から考えてましたが、どうもそうはならない。自分がユーチューブをやってよく分かった。ネット媒体に、しばらく王座を渡さないのでは。UFOが墜落する映像を撮ることができても、まだ放送局に持ち込んだ方が得です(笑い)」

 62歳目前の自身にも転機が訪れた。来月から読売テレビの情報番組「朝生ワイドす・またん!」(月~金曜、前5時20分)の出演を週2日に減らす。「人生の残り時間と健康寿命を考え、やりたい時にやりたいことを、と」。ユーチューブ配信もその一環。近々、25年万博の大阪のライバルの一つであるアゼルバイジャンの首都バクーを訪れ、現況をリポートしたいという。

 「人生の新章ではなく、最終章。13年6月21日(ヨット事故)に私は一回、死んでますから。世のため人のためではないですが、ボランティアをやるより、世界の今を記録して、分かりやすい言葉で伝えることが、私のできる一番の社会貢献では」。自らの足で動き回り、世界の“リアル”を発信していく。

 ◆辛坊 治郎(しんぼう・じろう)1956年4月11日生まれ。61歳。鳥取県米子市出身。早稲田大学卒業後、80年に読売テレビに入社し、アナウンサーとして「ズームイン!朝!」などを担当。97年に報道局解説委員に、09年には同委員長に就任するが、翌10年9月に退社。現在は自身が設立したシンクタンク・大阪綜合研究所代表。「朝生ワイド す・またん!」「ウェークアップ!ぷらす」「そこまで言って委員会NP」(いずれも読売テレビ制作)の司会を務める。

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