文音、10年ぶり主演!家族の絆伝える 映画「ばぁちゃんロード」14日公開 

スポーツ報知
10年ぶりに映画主演する文音

 女優の文音(30)が、草笛光子(84)とのダブル主演作「ばぁちゃんロード」(14日公開)で10年ぶりに映画主演する。映画美学校で開かれた「プロット(ストーリー)コンペティション2016」の最優秀賞の映画化。結婚を間近に控えたおばあちゃんっ子の孫娘役を熱演した。作品への思い、プライベートでも親交のあるという草笛への思いなどを語った。

 「絶対にこの役をやりたい! その気持ちだけでした。ステキな作品に出会うことができました」

 ストーリーに“ひと目ぼれ”した時の心境を、文音は興奮気味に語った。

 ばぁちゃんっ子の孫娘・夏海(文音)と、足をケガして施設で暮らす祖母(草笛光子)の奮闘物語。映画界に多くのクリエイターを輩出する映画美学校で行われた「プロットコンペティション2016」の最優秀賞受賞作、上村奈帆さんの脚本の映画化だった。

 デビュー作「三本木農業高校、馬術部」(08年)以来10年ぶりの映画主演だったが、気負いはなかった。「主演をやらせていただけるのは光栄なことだけど、それ以上にプロットが素晴らしかった。読んだだけで涙が止まらなかった。主演だから―というのは、後からジワジワと来ました」

 演じた夏海は、真っすぐに目標に向かう純粋な女性。ケガの影響で内向きになってしまった祖母に、「一緒にバージンロードを歩きたい」と提案。無謀ともいえる目標に向かい、二人三脚でリハビリを重ねていく。

 作品の肝になる孫娘と祖母との深い関係性は、草笛とだからこそ可能だった。ドラマ「SAKURA~事件を聞く女~」(14年)の共演をきっかけに親交を深め、今では自宅に招かれて一緒にトレーニングをしたり、食事に行ったりする間柄。草笛を「本当のおばあちゃん」と表するほどだ。「おばあちゃんを亡くしているので、ちっちゃい時の思い出しかない。祖父母の前では、親と違った甘え方をするじゃないですか。私も草笛さんの前だと、つい甘えてしまうんです。私たちにしかできないことって何だろう―と考えた時、プライベートの関係性をスクリーンに反映させることだけだった」

 今作を通じて伝えたい思いがある。それは世代を超えた家族の絆だ。「日本は核家族化が進み、一人暮らしが多い。祖父母、もしかしたら、父母ですら遠い存在になってしまっている…。やってあげられるのは生きているうちだけ。死んでからじゃ遅いんです。家族あっての自分。祖父母、父母を大切にしてほしい」

 3月17日に30歳になった。お祝いの席で父親の歌手・長渕剛(61)、母親の元女優・志穂美悦子さん(62)に向けて感謝の言葉を贈った。「お父さんとお母さんが出会わなければ、私はいない。この作品を経験したからかもしれない。30歳の節目に、初めて『生んでくれてありがとう』って伝えることができました」

 20代の女優人生は「激動だった」と語る。「三本木農業高校―」で報知映画賞新人賞などを受賞、12年から2年間、米ニューヨークの演劇学校に留学した。「分かれ道がたくさんあった。悶々(もんもん)とした時期が続いたし、いったん日本の芸能界から去るというのは大きな決断だった。海を渡り、家族も友達もいない。何をするにも一人。つらくてひたすら泣いたし、もう二度とやりたくない…。そう思えるぐらい精神的に鍛えられました」

 貴重な財産を、この先の女優人生に生かすつもりだ。「この作品には、リアルな日常を切り取ったシーンがたくさん出てくる。そういうのが、得意な女優になりたい。もっともっとリアルを追求した芝居をやってみたい、と強く思った」

 劇中でウェディングドレスをまとった。「初めて歩くバージンロード。ウェディングドレスを着ると、気持ちがキュッと引き締まりますね」と文音。結婚観には「『いつ結婚できるんでしょう?』って感じですかね」と笑った。

 ◆文音(あやね)1988年3月17日、東京都出身。30歳。明治学院大学国際学部国際学科卒。幼少期はバレエに熱中。高校3年時、演技のワークショップに参加し女優の道に。10年「結婚狂想曲」で初舞台。主な出演作に映画「八重子のハミング」「おみおくり」。特技は英語、クラシックバレエ、乗馬(障害物)、ダンス、アクション。身長163センチ。血液型A。

 ◆ばぁちゃんロード あらすじ

 漁師を目指す大和(三浦貴大)からプロポーズを受けた夏海(文音)。自宅の庭で足を骨折し、施設で車いす生活を送る祖母キヨ(草笛)とは疎遠になっていたが、久々に再会。おばあちゃんっ子の夏海は「結婚式に出席してほしい」と告げる。出席を渋るキヨに、一緒にバージンロードを歩くことを提案する。89分。

 篠原哲雄監督の一言

 「文音さんって一見、熱っぽくて、目標に向かって真っすぐな印象。実際、この役で体現してくれているけど結構、冷静な面も持っている。おばぁちゃんの身体(からだ)を治そうと懸命に向かうさまは、ひたむきで、草笛光子さんとのお芝居は、本当に起きている出来事のように演じてくれた。それはどこかで自分を見る冷静さがないとできない。ある意味ウェットになりがちな部分を、ドライに演じてくれたことでできた人物は、愛らしくかわいらしい」

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