乙武洋匡さん「生きていても無駄…魂抜けた」活動自粛期間メディアに初激白

2018年4月24日14時10分  スポーツ報知
  • スポーツ報知のインタビューに答える乙武洋匡さん。一連の騒動後に胸中を激白するのは初めて(東京・港区のストリングスホテル東京インターコンチネンタルで=カメラ・小泉 洋樹)
  • 1年かけて37の国と地域を歴訪。今年3月には東アフリカに位置するルワンダ共和国を訪ねた(乙武さん提供)

 一昨年、複数女性との不倫が明らかになり、活動を自粛していた作家・乙武洋匡さん(42)がスポーツ報知の単独インタビューに応じた。メディアで心境を語るのは初めて。大バッシングを受けることになった週刊誌報道後から現在まで、うわさされる新恋人についてや今後について偽らざる胸中を明かした。

 16年3月、週刊誌に不倫を報じられて以来、表立った活動を自粛した乙武さん。01年に結婚した早大時代の1年後輩妻との離婚を9月に発表した後も、自宅に引きこもる日々だった。

 「何も考えられない状態でしたね。感情を失って、ボケーッとしてる間に日にちがたっていくみたいな。社会の役に立ちたい、そのために力を尽くしたいと思っていたのに、もうできないのか、と。生きていても無駄、までは言い過ぎですが、急に人生の目的を失って魂が抜けたようでした」

 「自業自得」という言葉を何度も繰り返し、反省の弁を述べる乙武さんだが、世間のバッシングは想像以上のものだったという。

 「僕が他人のプライベートに全く関心がないので、こんなにも他人のプライベートに干渉したい人が多いんだなと驚かされました。その方々の怒りを買うことをしたんだと受け入れるしかなかったですね」

 周囲の気遣いに救われた。

 「家族も仕事も財産も社会的信用も、何もかも失ったな、と落ち込んでいました。でも、その間にもいろんな方がメッセージをくださって。一番失っちゃいけない“人”という財産だけは失わずに済んだんだな、と。それまでも支えられてきた思いはありましたが、この2年ほどいろんな方に支えられていることを実感して、感謝した時期はありません。(ダウンタウン)松本さんの『乙武さんは必要な人なんで』という言葉も大きな支えになりました。あれは忘れられません」

 再スタートを切ったのは昨年3月。知見を広めるため海外に出た。約1年間かけ、欧州、アフリカ、北中米、オセアニア、アジアの37の国と地域を歴訪。パレスチナのガザ地区では支援活動に関わり、スリランカ、スイスでは講演も行った。

 「(報道後)最初の1年はそんな気分にもなれなかったですが、ゆっくり海外を回る機会を持てずにいたので、いい機会だと。日本が改善すべき点や、逆に素晴らしいと感じる点、両面の視点が増えたのはよかった。今後の自分にとっても大きな1年になりました」

 取材活動も再開。2020年には東京五輪パラリンピックが控えている。東京大会への参考になれば、と12年の英国ロンドンでのパラリンピックが「史上最も成功した大会」になった理由を関係者から探った。約5か月間の欧州生活では気づかされることも多かった。

 「ロンドンは東京と同じように忙しい街だと思っていたんですが、本当に働かない(苦笑)。仕事は遅い、ミスは多い、メールの返信はない、5時には帰る…。驚くことの連続でした。最初はイライラすることが多かったんですが、しばらくすると、東京とどっちが健全な社会なのかなと感じるようになった。私的な時間を充実させるために仕事をする、という優先順位がはっきり伝わってきて、不便だけど、健全なのはこっちかなと考えさせられました」

 助け合いの精神が人々の間に根付いている。

 「ロンドンの地下鉄は、バリアフリー的には日本よりひどいんです。エレベーターがある駅の方が少ない。ところが、ベビーカーのお母さんも普通に出掛けて地下鉄に乗ろうとする。それは、階段の上で待っていると誰かがベビーカーを抱えて下りてくれるから。人の助けというのがインフラに組み込まれているんですね」

 対して日本は。

 「自分でできない人間が、手伝ってくれることを前提に出掛けたら日本ではバッシングを受けますよね。バリアフリーに関して、東京は世界でもトップクラスだと思いますが、人が手伝ってくれる割合というのはワーストに近い。それは不親切だから手伝ってくれないのじゃなく、慣れていないから、どうしたらいいのか分からない、というのが大きいのかなと思いますね」

 帰国後、4月からJFN系ラジオ「Seasoning~season your life with music~」(月~木曜・午後1時30分~3時55分)に火曜レギュラーとして出演。徐々に活動を再開させている。

 「とにかく目の前のことに一つ一つ丁寧に取り組んでいくこと、それしかないと思っています。あまり先のことは考えないように。楽観するでも悲観するでもなく、今の現実を見て、できることを着々とやっていく。これに尽きますね」

 16年7月の参院選に出馬する意向を固めていたが実現しなかった。再び政治家を目指す考えはないのか。

 「僕は、どんな境遇に生まれても(健常者と)同じようにチャンスや選択肢が与えられる社会の実現に貢献できたらと思ってやってきましたし、一番効果的にできるのが政治家という立場かなと思ってチャレンジを考えた時期もありました。ただ、政治家に強いこだわりはないので、今は違う手段でそういう社会の実現を考えようとしています」

 先日、日本人の父親とチェコ人の母親を持つ美女との交際が報じられた。

 「私のこういった話題に対して複雑な思いを抱く方もいると思うので、話すべきことではないなというのが正直な気持ちです。本当は開けっぴろげな性格なんですが、周りの人がどう受け取るかを考えられるようになっただけでも成長したのかなと。再婚? 今は全く考えられないですね」

 熱愛発覚後、乙武さんには「なんでそんなにモテるの?」との声が噴出した。

 「女性にモテると思ったことは一度もないですが、ただ、小さい時から人にやってもらうことの方が圧倒的に多く、自分は相手に何ができるんだろうと考えるクセがついたのがプラスに働いているのかもしれません。あと、劣等感が1ミリもないことも大きいのかと。高校の時、女友達に『俺と歩いて恥ずかしくないの』と聞いたことがあって『嫌なタイプの人と歩いてるんじゃないから気にならない』と言われたのが結構自信になったんですね。それまで当然のように恥ずかしいだろうと思っていたのが、そうでもない人もいるんだ、と分かったのは大きかった」

 今後、関わりたい仕事は。

 「ゴーストライターとか、“乙武”という名前を出さなくていい仕事もやってみたいですね。どうしても僕の仕事には“バイアス”がかかると思うんです。自分の仕事ぶりというのが、どれぐらい評価されるものなのか一回、測ってみたい。自分が置かれている状況を見つめて、目の前のことに丁寧に取り組んでいく、それしかないと思っています」

 ◆乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年4月6日、東京都生まれ。42歳。早大政治経済学部卒。先天性四肢切断の生活体験を在学中につづった「五体不満足」がベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。杉並区立杉並第四小学校教諭、東京都教育委員を歴任。2014年に地域密着を目指すゴミ拾いNPO「グリーンバード新宿」を立ち上げ、代表に就任。15年4月から政策研究大学院大学の修士課程で公共政策専攻。

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