紅ゆずる、異色の冥土ツアー“必死”に取り組む第104期生初舞台公演!

スポーツ報知
芸名やショーの題名「ルージュ」の赤色が鮮やかに映える星組トップスター・紅ゆずる

 宝塚歌劇星組公演「ANOTHER WORLD」「Killer Rouge」が27日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。落語をベースにした「ANOTHER―」は、文字通り“あの世”を舞台にしたミュージカル。トップスター・紅ゆずるは「笑わせてやろう、ではなく、一生懸命やるからこそ面白さが出る」と、異色の冥土ツアーに“必死”に取り組んでいる。第104期生の初舞台公演としての思いも聞いた。(筒井 政也)

 夢心地へといざなうタカラジェンヌが、誰も見たことのない“極楽”にご案内!? 死後の世界が題材の落語ネタ「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」「朝友(あさとも)」「死ぬなら今」に、「崇徳院」の要素も加えた異色作。えんま大王や貧乏神まで登場する。

 「今まで見た事がない世界観。ほぼ全員が死んでいる(笑い)。その時点で、もうハチャメチャですね」

 現役生で随一のコメディーセンスが発揮できそうだが「笑わせる方向に走ると失敗する。遊ばない」と冷静だ。面白みの出し方は後進に求める。「私が引っ張るというより、踊らされる役にしたい。責任感から、どうしても自分が(舞台を)回しにいっちゃうけど、何とか封印して。自分がやりたいことをするのは楽でも、周りが育たない」。ある種の自由空間で、組子の“舞台で生きる力”に期待する。

 紅自身も稽古では課題が山積みだった。大阪出身でも「結構難しい」という船場言葉を操り、全場出ずっぱりで「息つく間が一切ない。恐ろしい」と苦笑いしたが、しゃかりきに主人公・康次郎を生き抜く。「思いっきり人生をまっとうした人間しか、(あの世で)楽しい思いはできない、というものを提示できれば」。歌劇に全身全霊をささげたトップならではの言葉だ。

 一方のショーの題名は「カッコいい」を意味するスラング「キラー」に、紅色の「ルージュ」を合わせた。はんなりした雰囲気の「ANOTHER―」の康次郎とは真逆の“男っぷり”を見せる。「かなり激しく、押せ押せ。俺様系のところもありますが、全部の場面で印象を変えたいですね」と、こちらも、現実とは違う異空間に招待する。

 第104期生のデビュー作でもある。自身は16年前、88期生として初舞台を踏んだ。同期仲間のLINEのグループ名は、ラインダンスのロケットを披露したショーの題名「LUCKY STAR!」をもじったものという。「いまだに当時の話になるほど特別な、一生の思い出。ロケットの練習ではすごく怒られましたが、今となっては財産」と、入団当時を振り返った。

 当時の星組トップ・香寿たつき(現女優)から呼ばれたように、今回は自分が新人40人の始動を告げる。「心を込めて紹介したい。新入団生のフレッシュな空気を吸ってから、袖にはけます(笑い)」。当時の同期48人中47番目の成績からはい上がった努力家。初心に帰り、憧れ続けたステージで、地に足をつけて臨む。

 ◆紅 ゆずる(くれない・ゆずる)8月17日生まれ。大阪府大阪市出身。2002年4月「プラハの春」で初舞台。88期生。星組一筋で、16年11月に星組トップスターに就任。身長173センチ。愛称「さゆみ」「さゆちゃん」「ゆずるん」「べに子」。

芸能

×