海老蔵、父・團十郎さんしのぶ5年祭で長男・勸玄くんに背中で伝える5役

2018年5月17日12時0分  スポーツ報知
  • 「雷神不動北山櫻」での市川海老蔵

 歌舞伎座(東京・銀座)は「團菊祭五月大歌舞伎」(26日まで)で連日、盛況だ。今年は2013年に逝去した12代目市川團十郎さんを5年祭としてしのぶ公演でもある。昼の部では息子の市川海老蔵(40)が、歌舞伎十八番の3演目を含む「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」で5役に挑戦。夜の部は「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」で人間国宝、尾上菊五郎(75)が当たり役の弁天小僧を5年ぶりに演じるなど話題作ぞろい。2人が役への思いを語った。

 2013年2月に12代目團十郎さんが亡くなってから5度目の團菊祭。團十郎さんの「5年祭」と銘打たれた公演で、海老蔵は、父の教えをあらためて胸に刻みながら舞台に立っている。

 昼の部の通し狂言「雷神不動北山櫻」は1742年に2代目團十郎が大阪で演じ、評判を呼んだ作品。この中から「毛抜」、「鳴神」、「不動」が歌舞伎十八番に選ばれており、市川家にとって大事な作品だ。父は1996年に国立劇場で鳴神上人、粂寺弾正、不動明王の3役を演じたが、海老蔵は10年前に早雲王子、安倍清行を加えた5役を演じる新たな脚本で上演。今回が6度目となる。

 海老蔵自身も「歌舞伎を真剣にやろうと思った、情熱のこもった作品」と思い入れは強い。休憩も含めると4時間以上、ほぼ出ずっぱり。「見るのとやるのは大きな違いがある。本当は『鳴神』、『毛抜』を1本やるだけで大変ですが、そんなことを語っても意味がない。大変なことに挑戦するのが役者ですから」と、表向きは平然としている。

 特に重点を置いているのが、父から教わった「鳴神」、「毛抜」の場面だ。「『鳴神』は若い頃に教わったのですが、鳴神がもともと上人であることを忘れてはいけないと言っていました。(毛抜の)粂寺弾正と、(鳴神の)鳴神上人は色気が似ている、だけども違う。弾正を引きずったまま、上人をやってしまったら終わり。私もそういうことを考えなくてはいけない年頃になった。弾正と上人の違いをしっかりと描ければ」と自身に課している。

 今年は市川家にゆかりの深い成田山の開基1080年記念でもあり、4月には長男・堀越勸玄くん(5)とお練りを行った。その際に勸玄くんは「歌舞伎の道に進みたい」と堂々宣言し、話題を呼んだ。海老蔵も「私の責任が増した」と気を引き締めている。将来的には勸玄くんもこの演目を演じる可能性が高い。父の言葉を思い出す一方、父親として、大きな背中で愛息に芸を伝える立場になったことを、不惑を迎えた今、実感している。

 ◆雷神不動北山櫻 平安時代の始め。陰陽師の安倍清行は早雲王子が帝位に就くと世が乱れると予言。帝は鳴神上人に命じ、妃が身ごもった女子を男子に変えて誕生させる。怒った早雲王子は鳴神上人を都から追放。すると、鳴神上人の行法で都は干ばつに苦しむ。粂寺弾正は雨乞いに効力のある短冊を手に入れ、弾正の主人・文屋豊秀(尾上松也)は宮中一の美女・雲の絶間姫(菊之助)を鳴神上人の元に遣わせる。

 ◆團菊祭とは 「劇聖」と言われた名優9代目市川團十郎と5代目尾上菊五郎の偉業をたたえ、面影をしのぶために始まった。何度かの中断を経て今年で82年。歌舞伎座の「5月の顔」として定着している。

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